この3連休で、以下のちょっと変わった本を読みました。
日東電工でのIR実務経験をもとにIRコンサルを起業した著者による、機関投資家対応を中心としたIR実務者のための本です。
私は想定読者ではないと思いますが、コミュニケーションをさせていただいている相手方である、IR担当者様が抱えている課題や悩み(個人的には、ここが今の大きな関心事の一つです)、そして理想像について理解を深めることができました。
感銘を受けたのは以下の箇所です。
…さまざまな企業情報を「伝えたかどうか」が大事なのではなく「正しく伝わったかどうか」が大事だということです。
(太字は当方)
(中略)
では、「正しく伝える」ためには、どのようにすればよいのでしょうか。それは目の前の投資家やアナリストが最終的な「お客さん」ではなく、「その先がある」ということを意識することです。
「その先」には資金の出し手がいることを認識し、そこに対して説明するつもりで対応する ——
これくらいの広い視野と情熱を持った担当者様と、コミュニケーションを楽しみたいものですね。
前置きが長くなりましたが、この本で良いなと思った表現に、「パートナー株主」というものがあります。
この本では、議決権数と株式保有期間の2軸で株主を4タイプに分けておりました。
①議決権数多・短期保有の「アクティビスト」
②議決権数少・短期保有の「通行人」
③議決権数少・長期保有の「ファン(応援団)」
④議決権数多・長期保有の「パートナー」
②→③→④と、株主を育てていくことが戦略的IR活動として求められるということですね。
そして「パートナー株主」のことを、以下のように定義付けています。
誤解してほしくないのは、保有数が多くなるよう買い進んでもらうことではなく(それはあくまで結果)、会社のことを理解してファン(応援団)になってもらい、業績変動で株価が上下してもちょっとやそっとのことではびくともしない信頼感(株価が下がった時は買い場と考えてくれるような)を持った、まさに「パートナー(共同経営者)」のような株主です。
(太字は当方)
実際の議決権数の多寡はともかくとして、こうしたあり方が自分にとっても目指したい姿でした。
それを上手に言語化していただいたと思っています。
自分が「パートナー株主」になりたいと思え、かつ「パートナー株主」を大事にしていただけるような企業とのお付き合いはこれからも大切にしていきたいですし、可能であれば何らかの形でお力になりたいとも考えております。
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コメント
なるほど、考えさせられます。
『理想は「パートナー株主」。』とだけ見ると、
うんうん私もそうありたいと思いますが、
文章を読むと、
漠然とした株主というイメージに、
時間軸の中で「育てる」というストーリーが入ってくるため、
自分は「ファン」なのか「パートナー」なのか、それ以外なのか、
考えるきっかけになりますね。
動じない「信頼感」があるかどうか
時間の経過とともに信頼感が深まっていき、やがてそれが揺るぎないものになる、といったイメージなのかなと思いました。