東京海上ホールディングス株主総会2026(4)(★★★★☆)

株主総会・説明会

質疑応答の最後です。

質疑応答(4)

【質問13】
自動車の損害保険事業について。
今後技術革新によって、車の自動運転が近い将来実現するのではないか。
そうなると交通事故が劇的に減り、東京海上としても車の事故関係の保険の収入が劇的に減るのではないかと思うが、その部分のリスクをどう考えているのか?
減収になるとしたら、その穴埋めをどう考えているのか?


(グループ保険引受・保険政策総括 細島専務)
東京海上グループの中で、特に東京海上日動については引き続き半分が自動車保険ということで、仰られたように、ここが自動運転でどうなっていくかというところについては非常に注視をしている。
自動運転について今の国内の現状は、いわゆるレベル4と呼ばれる技術については、商用車を中心に、かつ特定の地域に限定されているという認識で、そういったところで進んでいくと見られており、いわゆる完全な自動運転、レベル5と呼んでいるが、そこに行くまでにはかなりの時間がかかると見ている。

また、車の入れ替えが最大で15年ぐらいかかるので、今後、全ての車が自動運転に変わっていくまでには相当な時間があるのではないか
その間は、自動運転の車と既存の車が併存するという状況が続く考えており、事故が減るという要素はもちろんあるが、一方で自動運転を搭載した車は非常に高価なので、そこでの車両保険の保険金単価が増えていくという逆の要素がある
自動運転で自動車保険の収入保険料が大きく減っていくまでには、時間がかなりかかるのではないかと見ている。
ただ、仰る点についてては重々承知しており、やはり国内の損害保険についても、自動車保険だけではなく、冒頭で新種保険という話があったが、新しい保険、新しいリスクテイクで、収入保険料を上げていく、もしくはソリューションビジネス=事前・事後のところで収益を上げていく、 そういったところで強化してまいりたい。


【質問14】

  1. 3号議案に関して。
    委員会設置会社に変更するにあたり、独立の社外取締役の責務がかなり拡大すると思うが、 責任とか覚悟についてお聞きしたい。
    なぜかというと、このところ粉飾決算で世間を賑わしている事例があるし、ニデックはM&Aがうまくいかなかったから粉飾決算したとかいったこともある。

    東京海上さんも執行の方々は優秀な経営陣であり、はっきり言えば、やりたいことをイケイケどんどんで収益上げてきてくださってすごく嬉しいが、それに伴って例えばM&Aとか、また御社は不祥事も生保・損保ともにやっているので、その辺に関して社外取締役の責任もあるし、深く食い込んでいってこれはダメだと言ってもらわないと、結局、その時はいい決算を出したとしても、最終的には上場廃止みたいになったら元も子も無い。
    執行の方はイケイケどんどんやってもらって結構だが、その辺の歯止めとか、コンプラとか、もっとはっきり言えば脛に傷は1回、2回持っているので、社外取締役としての覚悟を聞きたい。

  2. AIに関連して。
    Claude Mythosのような、システムに対する穴を見つける恐ろしいAIがオープンされてきてかなり脅威。
    AIを使うことは素晴らしいが、これを使って悪いことされてしまう、システムの穴を見つけられてしまうみたいなところで、サイバー攻撃に対する脅威がある。
    今、メガバンクの3つにはアクセス権が来ているみたいだが、その次くらいに値する東京海上のようなアセットを持っている会社でこれをやられたら、もうとんでもない話になると思う。
    この辺に対してAI担当役員の方やAI部門の方は危機感を持っていると思うが、もっと大きなグループでの取締役の方々が関係ないよみたいなことになっては困るし真剣に受け止めていただきたいので、どう思っているかについてお聞きしたい。

1⇒
(グループ人事総括 守山常務)
当社取締役会は企業価値を高める観点でその実質実効性こそが最も重要であり、その観点で指名委員会で審議して選定を行っている。
ちょうど1年前から社外過半数という形で取締役会の構成を変更しているが、これはまさに形式的な比率調整ではなく、実効性のある意思決定とガバナンス機能の強化を目的としたものである。
当社の取締役会は、これまでも社外取締役の高い知見や専門性を十分に取り入れて、いつも活発な議論、時には非常に厳しい指摘や提言が行われるなど、従来から高いレベルで監督機能が発揮されてきている。
こうした中で社外過半とすることで、これまで以上に経営陣は健全な緊張感を持って業務執行にあたり、より良い会社運営、意思決定の向上につながっていると考える
今回、監査等委員会設置会社に移行するが、社外取締役は引き続き企業内部のしがらみにとらわれず、客観的な視点で経営を監督する役割を果たしていただくということで、特に一連の不祥事等を経て、不祥事の再発防止策の実効性・十分性、あるいは進捗状況の監督等、執行に対する牽制機能といったことも今後より良く高めていただけるのではと期待している。

(松山社外取締役)
社外取締役としての覚悟を聞きたいとのことなので、僭越ながら私の方から回答させていただく。
今回、機関設計を変更することによって、社外取締役の責務が増えるということ、まさにご指摘の通り。
その中でも、特にご質問の中にあったコンプライアンスという観点では、独立社外の立場から厳しく意見を言わなければならない局面であるということも、大変重く受け止めている。
先ほど昨年来の会計不正、他社様の名前などもあったが、私がこちらの会社に就任してからは、こちらの会社自身もいくつかの大きな不祥事で世間を騒がせたところで私はグループ監査委員会の委員長をさせていただいたが、東京海上グループを挙げて、不祥事を重く受け止め、これをカルチャーの変革、あるいはビジネス構造をさらに変えていくという形で真摯に取り組んでいるところを、ずっとモニタリングしてきた。

もしも本日の総会で選任いただけた折には、監査等委員会というところでまた同じような形で、コンプライアンスの観点から我が社の取り組みを見守っていくことになる。
今取り組んでいるこのコンプライアンス、あるいは不祥事の再発防止に向けての会社の取り組みが後退することがないよう、またコンプライアンス違反については風化しないように、常にコンプライアンスを頭に置いていくということが重要。
その観点から、当社グループでコンプライアンス違反、不祥事といった形で皆様のご心配をおかけすることのないように、社外取締役として緊張感を持って責任を果たしてまいりたい。
これは、私だけではなく壇上の社外取締役一同、同じ思いで取り組んでいるので、どうぞご理解いただきたい。

2⇒
(グループサイバーセキュリティ管理総括 武井執行役員)
最先端AIが悪用されることで、かつて数週間かかっていたようなサイバー攻撃が秒単位に、我々が準備できない速さで攻撃してくるということは、最大の脅威として捉えている。
これは単なるシステム・ITの問題ではなく経営全体の問題と捉え、グループ内にグループサイバーセキュリティオフィサーを定め、各社のサイバーセキュリティ、経営と連携した対応を取るようにしている。
これは単なるシステムの枠を超えて、経営資源を最優先に配分するような重要な動きだとも捉えており、実施を進めている。

また、金融庁や政府との連携、官民一体というようなインテリジェンスの連携や、防衛体制の構築が喫緊の課題として認識している。
これらは個社だけの取り組みではなくグループ全体で議論し、かつ今までの前提と大きく異なるリスクが複雑に絡まっているので、準備を怠らずにしていくことが重要だと考えており、今、メガバンク等に開放されているものがいつ我々に解放されても、使い方が分からない、止まってしまうということはないように、事前の準備を着々と進めている。

(小池社長)
今武井が申し上げたのは日本の対応ということであって、我々はこうしたエキスパートをアメリカやロンドンに常備しているので、連携を取りながら継続的に対応を強化していきたい。


ここで議長より、残りの質問を2問とさせていただきたいとの投げ掛けがあり、議場の賛同を得てその形となりました。

【質問15】
社名のこともあり、船舶保険について関心がある。
全体に対する比重はどのくらいか?
またホルムズ海峡の件が終結していないが、当社収益の影響と、こうした予期せぬ地政学リスクへの対応に関する取り組みについてお伺いしたい。


(グループ保険引受・保有政策総括 細島専務)
弊社は仰られた通り海上保険からスタートした会社だが、自動車保険が50%を占めるに至り、今の船舶保険の割合はおそらく5%程度かと思う。
今、ホルムズ海峡で多数の船が閉じ込められており、一般的には損害保険の保険商品では戦争は免責だが、海上保険については例外的に戦争危険を受けているケースがある。
当然、このホルムズ海峡の周辺では、戦争リスクを抱えている船舶保険・海上保険がある。

一方で、戦争がいざが起こると非常に大きなリスクにつながるので、ここで最大どこまで損失を被る可能性があるかというエクスポージャーの管理をするとともに、そこをコントロールするために再保険を活用し、しっかり当社が自分の体力で引き受けられるところまでを引き受けるというところをやっている。
そういう意味では、今回のホルムズ海峡の件も例外ではなく、全体のエクスポージャーをしっかり管理しながら、引き受けを行っている。
仰る通り、地政学リスクで、今後、世界各地で同じようなことが起こる可能性があり、それぞれの地域でいくらのリスクを我々は取っているのか、ここの管理をしっかりしながら引き受けを行っている。

(グループ資本政策総括 遠藤常務)
今ほど細島からも説明があった通り、一部の保険分野、船舶戦争保険、あるいは貨物保険において、戦争を対象とした保険を継続をしている。
一方で現在の引き受け体制については、現時点では必要な再保険の手配、確保はできているので、引き受けの継続については支障が生じていないレベルである。
現時点での業績への影響については、大きな影響を見込んでいるということはないが、情勢は刻一刻と変動しているので今後も注視をしていきたい。

【質問16】
2035年度修正純利益目標(1.7兆円)は随分と強い数字だという印象。
先の話ではあるが、どの程度の解像度なのか?


(グループ事業戦略総括 森脇専務)
10年後に目指す姿を、社員を挙げて作った数字。
社員を挙げるということに関しては、ご案内の通りこの4月から我々の事業部体制とも言える、国内事業、海外事業、ソリューション事業、この3つの各事業部門が自律的に今後の成長戦略を立て、それを実行していくという事業ドリブン経営に大きく舵を切っている
この事業ドリブン経営の流れの中で、3つの事業部が自主的に、10年後にどういうところを目指したいかを、Aspirationという英語の言葉にも内包されている通り、到達したい、目指したい姿というものを組み上げて作ったもの。
それぞれの事業部ごとにおそらく解像度はばらつきがあると思うが、それは経営の中で議論をし、こういう形でまとめたもの。

ご案内の通り、バークシャーとの戦略的提携はその後出てきているので、この「Aspiration 2035」を作った時には提携の効果等は織り込んでいないが、いずれにしてもこういった提携効果も「Aspiration 2035」を実現していく確度、確からしさを向上させるという効果には結びついていくと思っており、今後、来年度からスタートする予定にしている次期中期経営計画の中で「Aspiration 2035」の解像度を上げ、これを今申し上げたそれぞれの事業部門でシミュレーションをし、株主の皆様にもご納得いただけるような説明をしてまいりたい。

(小池社長)
こちらは10年後の数字であり、我々の志として利益を倍にする覚悟で、 誇りとやりがいを持って働きたいということで、国内外の若手から経営者に至るまで色々と論議を重ねて作ったものであり、ぜひこの目標に向かってしっかり結果を出し、株主の皆様のご期待に応えてまいりたい。



以上で質疑応答は終了。
(12:05)

議案の採択を経て、閉会となりました。
(12:10)

最後に新たに取締役に就任した3名の簡単な紹介がありました。
(12:12)

所感

発言される役員の方が多かったですが、総じて経営陣のレベルの高さを感じました。
質問に対してのご回答の内容も噛み合っており、またバークシャーとの戦略的提携に関する前向きな情報も複数得られ、聞いていて満足感は高かったです。
また経営陣の質は、保有継続の安心感に直結するとも思いました。

ただ贅沢を言えば、業種柄仕方のないことなのでしょうが、皆様のお話ぶりにやや堅苦しさを感じた点はマイナスで、少しはユーモアの部分を感じたかったところではあります。
熱意の部分でそれをカバーしていたといったところでしょうか。

以上を踏まえ、総会の評価は★★★★☆とさせていただきます。

(終わり)

3月決算先の株主総会ラッシュはこれで終了。やっとひと息つけます。たくさんの応援ポチ、ありがとうございました。
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