個別株投資において、「仲間」という関係性は成立するのかについて述べてみたいと思います。
中神康議さんの『投資される経営 売買される経営』の解説の中で、楠木建教授が経営者・従業員・株主間における、「何らかの果実を取り合う競合関係(トレードオフ)」について言及していらっしゃいます。
そして同じく中神さんの『三位一体の経営』の解説では、短期的にはこの三者は「三者対立」の関係にあるものの、長期的視点に立って「三位一体」で経営がなされることによってこの矛盾は解消され、トレードオフをトレードオンに昇華させることができる、としています。
「同じ船に乗る」というのは、まさにこの状態のことを言うのでしょう。
このお話は「ステークホルダー間」の関係性について述べたものですが、私は「株主間」においてもこれに近い関係性が成立しうるのではないかと考えています。
短期的には、株式投資は他人のミスを突く「ゼロサムゲーム」の側面が強いかと思います。
なお、このことは長期投資家にとっても、否定すべきものではないと考えます。
安全域をたっぷり確保するためには、他人のミスはむしろ積極的に利用すべきですから。
その一方、長期的には、同じ企業の株主同士は、同じ船に乗る「仲間」になれるはずというのが、私の考えていることです。
以前、「私のポラリス」という記事で書いた通り、以下が現在の自分にとっての道標となっています。
- 応援の輪を広げていくことを通して、「好き」な企業に貢献する
- 貢献することを通して、同じ船に乗る「仲間」の株主を幸せにする
これはまさに「長期」だからこそ成立しうる関係性です。
同じ企業の株主である「仲間」のことを頭に思い浮かべながら、その企業への働きかけ(例えば、投資家とのコミュニケーションを円滑化するためのご提案)をする、得られた情報は共有するといったように、いつしか私の投資に対する取り組み姿勢も変わっていきました。
- 投資先企業には、ステークホルダー全てを幸せにするような、長期的視野に立った経営をしていただく
- 投資家に実態が正しく伝わり、それがいずれ数字に反映されることで、自ずと時価総額も増えていく
- その果実は「株主間」で分け合うことができる
こういった世界観で投資ができるのが、私が長期投資を好む大きな理由です。



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