このところ株主総会や会社説明会の類に参加する機会が増えたこともあって、「企業と企業を取り巻くステークホルダーはどうあるべきか」についてよく考えています。
ステークホルダーの定義はさまざまですが、一般的に言われているのは、
顧客、取引先(仕入先)、従業員、株主、金融機関、行政、地域社会
といった辺りでしょうか。
全てのステークホルダーを満足させるためには、企業は価値を生み出さなくてはなりません。
そしてそれをバランスよく分配する必要があります。
強い立場を利用して顧客に不当に高いものを売り付けたりしてはいけませんし、
仕入先を買いたたいてはいけませんし、
従業員を過酷な条件の下で働かせてはなりません。
こういった類のことを行っている企業は、商品やサービスの質の低下を通じて、いずれしっぺ返しを食らうことになります(いくつも例が思い当たることでしょう)。
また公共財や公共サービスの恩恵を受けている立場として、税金による応分の負担もすべきです。
投資家としては株主還元を求めたい部分も無くはないですが、そのために他のステークホルダーへの適切な分配を犠牲にしてしまっては、企業の持続的な価値増大は望めなくなってしまいます。
近江商人の商業哲学で広く知られるものとして、「三方よし」(売り手によし、買い手によし、世間によし)がありますよね。
売り手と買い手が満足するのは当然であり、かつ社会に貢献できてこそ良い商売だという教えです。
この「三方よし」のように、自らの利益のみを追求することを良しとせず、社会の発展を願いつつ生み出された価値を公正に分配していく精神があってはじめて、企業はその事業活動を通じて価値を増大させ続けることができるのだと思います。
また投資家としては、それが可能な企業を選ぶべきだと考えます。
突き詰めて考えると、あらゆるステークホルダーは「同じ船に乗っている」と言えるのではないでしょうか。
英語には困難な状況について共感を示すための便利な表現として、”(be) in the same boat” というフレーズがあります。
この表現の如く、苦楽を共にする一つの運命共同体の中心として企業をとらえることも可能であり、同時にそう考えることで、投資家もその周囲で一定の役割を果たし、またその果実を享受できるのだと実感できるのではないでしょうか。
その観点で言えば、株主総会は「『船長』である経営者が信頼に足りるかどうか」、究極的には「同じ船に乗れるかどうか」を判断する材料を得られる絶好の機会です。
実際、各社の株主総会は私自身の投資判断にも大きな影響を与えつつあります。
ただ残念ながら、株主総会は平日に開催されることがほとんどです。
参加できない多くの方々のお役にも立てるよう、株主総会の記録を蓄積すべく頑張ろうと思っています。



コメント
総会の記事は旅行記の部分も含めて楽しく読ませていただいています。
中長期でPFに組み入れる銘柄は、ここら書かれていることは実にそのとおりだなと思います。
例えば、今度IRセミナーに行く予定の2471エスプールなどはそうです。
同時に、同じ株式市場での売買でも、優待クロスとかIPOの初値近辺での売りとかは、資金の有利な運用によって利益を得るという意味では有用なので、意味は区別しつつ、これも並行的にすすめてはいきますが。
京都の方に来られるようなことでもあればまたお知らせください。
ミシュランのビブグルマン的お値打ち、バリューのご飯やさんでも紹介できると思いますので。
ありがとうございます。
「銘柄に惚れてはいけない」などと言われることもありますが、
志に共感して応援する気持ちも大事にしたいなと思っています。
伏見の光さんにとってのエスプールのように、そういう企業と出会えるのは幸せなことですよね。
お店のご紹介のお話、大変興味深いです。
なんとか京都方面に行く機会を作らなくては!
(早速、京都企業のチェックを始める私)
京都はハイテク系の企業が多く、投資判断はなかなか難しいです。
今は下記のような銘柄を見ています。
3480
3804
4923
6677
やはり京都で気になった企業は、まさにそんなところです。
これから勉強させていただきます。
伏見の光さんお久しぶりです。
「6677」が気になったので買ってみました。
ちなみに私、京都のハイテク企業に勤めていましたが、
ハイテク銘柄に良い思い出が全くありません。
ハイテク銘柄難しいですよね。
でも私も伏見の光さんに挙げていただいた4つの中から1つ購入致しました。