ファナック株主総会2026(2)(★★★☆☆)

株主総会・説明会

(社員用の駐車場の案内を思わず撮影。敷地内の建物の数多さよ…)

質疑応答の続きです。

質疑応答(2)

【質問6】
対処すべき課題において人的資本の充実を掲げられているが、少子高齢化の中、社員のエンゲージメント向上への取り組みは具体的に今どういったものをされているのか、また今後どうされるのかを教えていただきたい。


(蛯名執行役員人事本部長)
取り組みについては大きく全社的な取り組みと、部門別の取り組みに分けて行っている。
全社的な取り組みについては、まずはご自身の一人一人の仕事が何に役立っているのかが分かるような紐づけを強化している。
具体的には、部門の目標や各人の仕事を結びつけるようなことを強調している。
もう1つは「賞賛文化」と言っているが、やはり一人一人の仕事はどれも大切なもので、上司や周囲が良かったものについてはしっかり賞賛を、それからアドバイスについてはフィードバックとこういったことを取り組んでいこうという形でやっている。
それに加えて、各本部・部門で、それぞれ独自の取り組みを合わせてやっている。

(山口社長)
私共の携わるビジネスがどうしてもBtoBであるため、その結果が関わっている本人にも実は見にくいということもあり、我々の技術・商品が世の中に役立っていることを、我々の社員自身が理解するのが大事
ただ、なかなかそれが実感しづらくなってきているので、そこを理解するようなことも含めて色々な施策を打っている。
毎年その結果については、エンゲージメントサーベイというものを全社員に対して行っており、こういったところは当社のポイントが高い、あるいは当社はこういったところは課題がある、そういったところを毎年チェックしていく。
それは課とか部の単位で分かるので、それを元にして、何がまだ足りないんだろうかとか、あるいはこの部署でエンゲージメントが上がったのは、こんなことをやったからだというところを水平展開することによって、全体のレベルを上げていき、さらにエンゲージメントを高め、人的資本の充実を図れるのではないかと思う。

【質問7】
株価が円安の影響で高騰しているが、今後日銀が動くことも予想される中、会社として為替の対策はされているか?


(山口社長)
為替については、私共も注視している。
8割から9割が輸出で、最終的には製品の8割から9割は海外に行く。
よって円安は、トータルで見れば業績を上げる方向に働く。
ただ、同時に我々が購入する部材・原料は海外から買い受けるので、原料が高くなる、我々が買ってくる部品が高くなることもある。
円安になったからそれが全部効くかというと、そうではなく、ごく一部がプラスになるということ。

為替のことはなかなか難しいが、現在は少し円安に振れ過ぎているかなという認識。
円安のほうが業績としては良くなる方向にあることは確かだが、ただ申し上げた通り買ってくる部品が高くなる。
また、日本のサプライヤーさんも苦しんでおられるので、サプライヤーさんからの納入価格についてよく協議をし、それを我々に価格転嫁してもらうようにしているので、我々のお客様にさらに価格転嫁する必要があり、非常にチャレンジングな状況にある。

為替動向に注目しつつ、かつ我々自身がサプライヤーさんからの値上げ要請を真摯に受け止めながら、それをお客様に我々の価値を認めていただいて高く買っていただく。
この努力を続けていくことによって、さらに業績が上がると考えている。

(経理担当:流石取締役常務執行役員)
基本的には輸出産業なので、円安になるとポジティブな方向ではある。
ただ為替についてはなかなかコントロールできないところもあるため、我々がやっていることとして為替にどう動こうともやれることをやる、コストを削減できるところは削減する、その他色々な努力を様々な委員会を含めてやっている。
あまり為替に左右されずにしっかりと稼ぐ力をつける努力を会社でしているので、それを続けていきたい。

【質問8】
日本の企業は最近ものすごく前向きに増配や自社株買いを行っている。
ただ私としては増配よりも前向きな投資をして欲しい。
今の要素技術、あるいは新しい要素技術をベースとした新しい事業も必要なのではないか。
ファナックが発展するということは日本が発展することだと考えているが、社長はどうお考えか?
(ご主張が長く続き、山口社長より制される場面もあったため、要点のみにしています)


私共としても成長投資が一番という思いはずっと持っている。
キャッシュの積み上がりは株主様の目線では良くないと考えており、成長投資をした後のキャッシュの余剰分については積極的に配当をし、場合によっては自己株取得を行っていく考え。

今後の見通しについて説明をする。
FA・ロボット・ロボマシンの3分野は順調に伸びている。
ただ中国メーカーとの戦いは年々厳しくなっており、そこで勝ち残っていくべく、新たな商品や技術を投入してそこの差を詰められないように努力している。
その努力は継続的にやっていく必要があり、人にもモノにもお金を投資していきたい。

この3分野だけでいいかというと、そうは思っていない。
我々としてはそれに代わる柱を生み出せるように、色々と努力をしている最中。
幹部が頭をひねることも大事だが、幹部だけでは良いアイデアも出てこないので、今年の4月からイノベーションを推進していく専門部署を社内に作り、そこがより広く社員の英知を集めることによって、もっと新しいことができないかと探っている最中。
こういったものの中から数年後には何か芽を出して、その後、さらに10年後とかに大きく成長するものが出てくると信じている。

こうした新しい取り組みも行っており、成長投資が一番大切であること変わっていないので、今後に向けた対策についても見ていただけたらと思う。

【質問9】
セキュリティ対策についてお伺いしたい。
(アサヒビールの件を引き合いに出し)御社も海外からサイバー攻撃を受けるリスクはあると思うが、それへの対策とバックアップ体制について教えていただきたい。


私共も重大なリスクと考えており、色々な対策を取っている。
社内については、情報セキュリティ委員会で毎月議論をしており、セキュリティを高める対応をしている。
そこでは社外の知見を取り入れるべく色々と議論をしており、最新のセキュリティ対策を社外と連携しながら行っている。

もう一つ、我々の商品のセキュリティも大事になってくる。
社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を構築しており、セキュアな商品管理のプロセスや、何か問題になった時の手順を決めて対応している。

バックアップも大事で、日常的に行っているので何かあった時にはバックアップに切り替えられるように準備はしている。
まだ完全でない面もあるかもしれないので、引き続き評価を続けていく。

当然ながらセキュリティは一番大事。
我々の社内も商品もそうであり、最重要の課題として取り組んでいる。

【質問10】
オープンプラットフォーム構想についてお聞きしたい。
これまで自前主義のイメージが強かった御社が、フィジカルAIの社会実装を目指してこうした構想を掲げていることに好感を持っている。
この構想を通じて、競合退社に対してどれだけ圧倒的なシェアや優位性を築けるのか、その見込みについてお伺いしたい。


(山口社長)
一部のメディアからも「クローズドなファナックがなぜ?」と言われている。
これに関しては担当の安部から。

(安部常務)
オープン化によって世界中の有益なAIを取り入れていく。
そのデータを作っている方々も、働かせるためには非常に精密でしっかりしたボディーが要るが、我々にはロボットにおいて動かした実績があり、種類も多い、しかも信頼性が高いものを持っている。
そこをうまく組み合わせることで、我々が開発したAIだけでなく、色々なAIを取り入れていける。
それによって非常に市場からも評価を得られているし、世界中の開発者から大変好感を得ている。
我々としてはロボットの社会実装をどんどん増やしていく、人手に困っている作業をどんどん自動化していく、これによって世界でのシェアを上げていく。
ファナックロボットで世界制覇を目指すくらいの気持ちで取り組んでおり、色々な人たちを仲間に入れ、接点を作っていき、色々なところにファナックロボットを入れていけるように進めていきたい。

(山口社長)
オープン化するとロボットメーカーの個性が埋没するんじゃないかと、かなり言われた。
しかし実際には逆で、オープン化されるとロボットの「素性の良さ」がもろに効いてくる。
AIを使う側からすれば、ロボットの信頼性が低かったり動きがおかしかったりするとAIのいいところが活かせなくなるので、いいロボットを使いたい。
そこは信頼性の高いファナックのロボットが選ばれやすくなるので、競合のシェアを奪えるのではないか、それと今までできなかった作業がフィジカルAIを使うことによってできるようになるので数も増えていく。
なお、我々はAIをやらないのかと思われるかもしれないが、我々自身もオープンプラットフォームの下で開発していく。

(続く)

かつて「秘密主義」で知られたファナックの「オープン化」はやはりインパクトがあり、株主の関心も高いですね。
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