質疑応答(1)
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
冒頭、岩田社長より「質問へのご回答は、会長の常包の他、私が取締役を指名の上でさせていただく場合がありますので、予めご了承ください」との発言がありました。
ここで「ん?」と違和感を抱きましたが、質疑が進むにつれてその意味が明らかになります。
【質問1】
KSP-SP社の買収によって、御社の持つデータとPOSデータを掛け合わせたサービスをやられていくことと思うが、具体的にどのようなサービスで、売上・利益はどういう形で上がっていくのか、イメージをお示しいただきたい。
⇒
(常包会長)
POSデータと元々我々の持っているデータ、2つのデータを利用して、新たなビジネスを立ち上げようとしている。
AIというのは、データが無いとそもそも動かない。
表に出ているデータ、ネットで公開されているデータは、今のAIでもハンドリングできる。
ところが、企業が持っているクローズドなデータはそうではない。
その中で我々は、「商材ebisu」という膨大な1,000万件のリッチな、つまり深さのあるクローズドなデータを持っている。
クローズドな情報というと、例えば段ボール箱の中にその商品が何個入るか、段ボール箱のサイズ、その段ボール箱がパレットに何個載るかといったもので、その情報が無いと物流システムは動かない。
そのような特殊でオープンではない情報を我々は持っている。
そしてもう1つ、POSデータもオープンではない。
小売さんが持っているデータをPOS分析会社が買い、それを分析してメーカーや小売さんに売っている。
どちらもクローズドで世の中には出ていないが、表に出ていない情報を掛け算することで、新たにAIを使ったビジネスを行うことを考えている。
先ほど岩田の説明にあったように、今、「DATA eBASE」というものを提唱している。
これまではデータを使って「e食住なび」のような新たなアプリケーションを作って売ると言ってきたが、これからはデータ自体を売りたいと思っている。
今までのPOSデータだけであれば、JANコード別の商品が、いつ・どこで売れたかという分析しかできなかった一方、我々のデータを使えば何ができるかをお示ししたい。
減塩商品の売れ行き具合というのが、某POS分析会社からコラムとして出ていた。
その「減塩」の定義を聞くと、商品名に「減塩」と入っているかどうかだけだった。
一方、我々は全加工食品の100gあたりの塩分量を持っている。
したがって、昨年発売された醤油の平均塩分量が分かる。
全体の平均のどのくらいのところに、当該製品の塩分量が位置しているのかも分かる。
塩分量が多かろうが少なかろうが安くしたら売れるかもしれないが、でも塩分ゼロにしたら消費者は美味しいわけがない。
たぶんメーカーは「高く売れて、量も出る」ところを求めている。
そのようなリッチな商品情報を使った分析が、我々の「DATA eBASE」でできると考えている。
なので、ビジネスとしてはPOS分析に入っていく。
我々が買ったPOS分析会社以外も、リッチ商品情報を使ったPOS分析を我々がやり出せば、彼らもやりたいはず。
そこに我々のリッチ商品情報を売っていく。
また、リッチ商品情報とPOSデータが我々に入ると、この2つを使った新たなビジネスソリューションもできてくる。
データ自体をそのまま売る、それには何のソフトも要らない。
そしてさらに、掛け算をした新たなソリューション、例えば「AI eBASE」で分析までできるというものを売っていく。
このようなビジネスモデルを考えている。
→ いきなり常包会長が回答され、ビックリしました。やはりお話には説得力、そして迫力がありますね。
【質問2】
toCアプリについて。
ここ数年来の推移及び毎年の説明から、私はもう先が無いと思っている。
経営陣の考えを改めてお聞きしたい。
toB、toCの物事の違いと取引対象者における重要度の違いにポイントがあると思う。
祖業のtoBは「無いと困るもの」が半ば自然と集まるので少数精鋭で推進できる。
一方のtoCは「あったらいいな」程度のものを広めるのにリソースを食ってしまう。
たとえ軌道に乗ったとしても人海戦術を続けられるか疑問。
企業が成長するための模索や試行錯誤は否定しないが、当事業は継続か中止かの判断をする時期にあるのではないか?
このままではtoBにも数字として表れない機会損失が生じる点も考慮せざるを得ないのでは?
あえてこのような聞き方をする。
経営陣はどうやったら撤退するか?
この事業に対してデッドラインをお持ちか?
それとも線引きをせず漫然と続けるのか?
⇒
(常包会長)
まさに「2nd eBASE」は、私が中長期戦略担当ということで発案・推進をしてきた。
手前の方から話をすると、ご指摘の通り、そして岩田から説明させていただいた通り、あまりにも発想が斬新ということで推進に苦労している。
ただ小売さんからはほとんど全てと言っていいが、我々が提案するソリューションに賛同いただいている。
具体的なところで言えば、「e食住ちらし」=チラシのデジタル化。
新聞はそう長くメディアとして存在しなくなり、紙チラシを配布するメディア自体が無くなる。
そしてその紙チラシを見て特売を狙っているような人こそ、新聞の購読を止めていく。
つまり、紙チラシでは小売さんが狙っている特売層への訴求が弱くなってきているということをご理解いただいていて、なんらかの策は打たなければならない、でも策を打つのは自分の部門ではない…ということで推進が遅れていた。
それに対しては、2つの策を行った。
1つは、「e食住なび」のような「改革型」も理解はいただいているが、先方は「改善」しか頭にないという状況にあるため、まずは紙チラシの制作支援システムを提案した。
ヨークベニマルさんともう1社からも発注が来ているが、同社で採用された「eB-DBPちらし」を導入いただくと、「e食住ちらし」が自動的に出来上がる仕組みになっている。
なぜかと言えば、紙チラシの制作=論理的なチラシ情報がシステム化されるということだから。
「e食住ちらし」は、「何月何日に、〇〇店で、こんな商品を、いくらで売りますよ」という情報なので、チラシ基幹情報がデジタル化されていれば、そのデータを移行するだけで「e食住ちらし」となる。
つまり、「改善型」をやった結果が「改革型」につながるということ。
もう1つは、トップセールス。
岩田によって各情シス部門、チラシ作成部門、マーケティング部門に営業に行き、新たな「e食住ちらし」を提案したとしても「俺の担当ではない」と言われてしまう。
「eB-DBPちらし」の事例を作りながら、岩田がトップセールスを行い、社長もしくは取締役のところに説明に行っている。
説明は簡単で、紙チラシがなくなるのだからそれだけで数億円コスト削減ができ、その数億円の1割を「e食住ちらし」に投入することで、前向きに進めていくことができるという話をする。
また、その延長もある。
レシートのデジタルデータが手元にあれば、過去いつ・どこで・何を買ったかが分かる。
特許も出しているが、過去買った商品が分かると、例えばお茶・水の容量のデータも我々は持っているので、そのご家庭での月当たりの消費量が分かる。
500mlが何本、24本入りの600mlの麦茶が何本といったことが分かるので、月間のお茶・炭酸飲料・水・ビールの消費量が分かる。
すると論理的な一日・一週間の消費量が分かるので、買った分から論理的な消費量を引くと、在庫が分かる。
在庫が分かって特売が分かると、それらを使った「AI献立」の提案ができる。
「AI献立」で何人分食べるというのから在庫を引くと、スーパーでの購入リストが出来上がる。
これらは全て、小売さんの購買支援になる。
皆さんも経験あると思うが、風邪をひいて薬を飲もうとしたら消費期限が切れている、でも仕方ないから飲もうか…
カップ麺や缶詰は6ヶ月、1年の消費期限があるので、ふと見たら消費期限が切れている…
それを消費する前に通知してあげるだけで購買意欲もわくし、フードロスも無くなる。
我々の持っている商品情報によって、小売さんの売上アップ、フードロスの削減、そして消費者の利便性アップが実現できると信じている。
かつ、POSデータを我々は取ろうとしている。
ビジュアルレシートを採用いただいた小売さんの会員IDのPOS情報が全部我々のところにある。
既に静岡のマキヤさんで実証をやっていただいているが、同社が持たれているPOS情報は我々の手元にある。
個人情報は一切持っていないのに、その消費者のプロファイルが手に取るように分かる。
子犬を2匹飼っている、猫を1匹飼っている、お子さんが何人いる、そのお子さんが男の子で来年小学校に入りそうだ…全て分かる。
そこにプッシュ通知でリコメンドする。
その仕組みで劇的に売上アップさせたのがウォルマート。
過去の店舗での購買情報も全て利用して、彼らのAIを使ってリコメンドすることによって売上が大幅に上がった。
それを日本で実現しようとしている。
よって、まだしばらくは「e食住なび」をしがみついてやろうと思っている。
実は、コストはそんなにかかっていない。
我々の「ミドルウェアeBASE」という開発ツールがあるのでいろんなアプリがどんどん作れているが、これは開発コストが低いから。
「ミドルウェアeBASE」のインフラ上にアプリを構築しているので、開発コストが非常に安くなっている。
→ 常包会長のロジカルかつ壮大な構想はよく理解できます。ただ質問者が聞きたかったであろう内容に対してご回答としては不十分な気もしましたし、私自身ももう少し深くお話を伺いたくなったので、急遽、この件に絡めて質問をすることにしました。
【質問3】
前の方のご質問の背景に、「e食住なび」が局所的にしか入っておらず、日本全体に普及するイメージが沸かないということもあるのだろうと思う。
toBの場合は小売が横(同業他社)を見て進めるということもあろうが、toCの場合はいかに多くの消費者が使うかに鍵があると考える。
ウォルマートのケースはアメリカ全土で圧倒的な存在感があるから成立しているのであって、日本の場合は各地で小売がしのぎを削っているという状況にあり、全国的に多くの消費者に「e食住なび」が普及するイメージを私自身も持てていない。
ここに関して、どのように進めていくのかお伺いしたい。
(私からの質問です)
(「開発コスト」だけでなく「普及させるコスト」もあると思い、その辺りも含めてお聞きしたいと思いました。)
⇒
(常包会長)
我々としては推進戦略は、消費者・ユーザーによる「口コミ」で考えている。
というのも、日本の企業は、横並び、横を見ながら推進していくケースが多いから。
まだ表に大きくは出ていないが、ヨークベニマルさん、マキヤさんの消費者が積極的に使い出した時には、そのサービスを「横」の小売店さんが見ることになる。
「横」で見てもらうことによって、展開が広がるであろうと思っている。
BtoBの場合は「企業間の口コミ」だが、消費者の場合は広く表に出た口コミになると思うので、そこに期待する。
ただ我々はその経験をしていないので、これからの課題だとも思っている。
また、「e食住なび」の推進シナリオを、先ほど申した通り「改善型」にする形に変えたということもある。
「改善型」というのは、生産性改善。
ヨークベニマルさんは企業として「eB-DBPちらし」により大変生産性が上がったということで発表があり、その結果を岩田のトップセールスによって実績数字を示しながら、ベンダーさんの了解を得つつ横並びに推進している。
これは「eB-DBPちらし」という「1st eBASE」の販促の結果が(「e食住ちらし」という)「2nd eBASE」につながったケースで、このように「0th」「1st」の推進を「2nd」の推進につなげていく。
そしてもう一つ、我々が決定的に遅れているのが「宣伝」。
これはコストが発生するということを開示(金額は非開示)しているが、今年度「e食住ちらし」のTVCMの計画を立てている。
また某放送局から依頼があり、今月「e食住なび」の撮影があり来月放映の予定がある。
今後、我々ができていなかった一般的な広告宣伝に一歩踏み出していく。
だいぶ長い間お待たせしているが、もう少し待っていただければ、「鎖国」は終わりそうだと感じている。
(窪田CFO)
「2nd eBASE」は、結果的には「1st eBASE」「0th eBASE」である。
つまり簡単に言うと、「おまけ」で「2nd eBASE」ができてくる、ということ。
ヨークベニマルさん等の例は非常に大きなBtoBであって、BtoCはやっていない。
皆様の目に触れないのでどうしても遅れていると思われるが、出てきたということは、7年間土の中に潜っていたセミが出てきた瞬間でもあるということ。
もしかしたら7~8日で死ぬかもしれないが(笑)、ポコポコと出てきたということは、裏側で既にBtoBが入っていっていると捉えていただければと思う。
放映するTVのことで言えば、2年も前からコストコさんの全店舗に「e食住なび」が入っているが、コストコマニアの方がSNSでつぶやき、お姉さん方が盛り上げてくれている。
番組でもコストコが映る予定。
成田空港ではインバウンド向けのヤマダ電機さんのコーナーがあるが、そこに行けば「e食住なび」が免税品コーナーで使われている。
その他でも、回転すし屋でのアレルギーの表示、スマートフォンで見られる部分の裏側に私たちのソフトが入っていたりしている。
それらは「2nd eBASE」のアプリだけあっても仕方がないもので、その後ろ側にはマスターを管理して、「商材ebisu」から商品情報を持ってくるといった過程があり、(アプリは)あくまで最後のところに存在するに過ぎない。
ビジュアルレシートのような電子レシートを出すことは、他の会社は絶対真似できない。
アプリは誰でもできるが、データは集めることができない。
あえて申し上げるが、「2nd eBASE」を諦めない、のではなくて、放っておいてもやがて我々のデータが皆さんの目に触れることがだんだんと出てくる、ということ。
「黒子、黒子って、いつまで言うてんねん!」と怒られてきたが、今年度からはTVCMのような、うちの会社ではありえなかったものも秋くらいまでにどんどん出していこうと思っているので、どうかご期待いただきたい。
→ 少なくとも現時点においては、「2nd」は「0th」「1st」と切り離してその是非を必要以上に重く受け止めることはなく、「0th」「1st」の延長線上の、「各小売とのビジネス強度を高めるためのツールの一つ」くらいに捉えておいた方が良さそうです。KSP-SP社買収により「3rd」への近道もできたのも大きいですね。とにかく、PayPayみたいに人とお金をふんだんに使って一気に普及させる類のものではない(広告宣伝といっても、各地での「横」への広がりを狙ったもののために、規模感としては知れている)、ということがハッキリ分かって良かったです。
【質問4】(質問1と同じ方)
BtoBでなぜCMをやるのだろうと疑問に思っていたが、解決できて良かった。
最近検索のサービスがリリースされていたが、今後のAIを活用したサービスについて、開発とローンチのスピード感、開発コストも含めて教えていただきたい。
⇒
(常包会長)
我々が先日発表した「AI eBASE」のビジネス推進シナリオに関するご質問と理解した。
(説明会資料P.26ご参照)
AIは、データが無いと機能しない。
そのデータは、今はオープン=ネット上にあるものを使っており、クローズドな情報は使えない。
ところが我々は、お客様の小売さん、メーカーさん、至るところで統合商品DBを提供していて、クローズドな機密情報を含む商品情報が管理されている。
我々の「AI eBASE」はオープン情報だけでなく、クローズドな情報もセットして、口語で質問して回答を出すことができるようになった。
先日の発表の中であったのは、例えば「花粉症なんだけど私に合うマスクを教えて」といったもので、普通はそんな質問はネット上ではできない。
ところがこれは、花粉症で肌が弱い、粘膜が弱い、だからマスクで接する布の部分が肌に優しい生地を使っているものといったように、生地まで遡って検索ができる。
提案が来たものに対して、「いや、耳のところも荒れるんだけど」と返すと、耳のところにかけている素材をデータベースから探し出してまた提案してくれる。
それがクローズドなデータを使った、(専門知識の無い)素人に対しての訴求となる。
それが我々にしかできない、「AI eBASE」のポイントの1つ目。
2つ目は、その「AI eBASE」が対象としているのはクローズドなデータベースで、これは全てeBASEであるということ。
eBASEは「e食住なび」も「FOODS eBASE」も「統合商品DB」も、「ミドルウェアeBASE」に全て乗っかっている。
「ミドルウェアeBASE」への質問は、そのデータベース構造とカテゴリーが決まっている。
その決まった「ミドルウェアeBASE」に対する「AI eBASE」なので、返し方も一つだけでいい。
今回のデモでは「e食住なび」の口語検索を作ったが、これが例えば住宅建材メーカーさんに入っているeBASEの「AI eBASE」検索を受注して作るとなると、ほぼ何もせずとも6~7割のものができる。
それから、こんな質問をした時に、今の何もしていない「AI eBASE」ではこの程度の回答しかできないけど、「こんな質問をした時にはこう返して」という特徴をAIエージェントに伝える、つまり顧客がこんな風に「AI eBASE」を改善してと伝えると、AIがそれを理解して自分でチューニングしていく。
要するにポイントとしては、開発負荷が非常に低いということ。
そして、全ての「ミドルウェアeBASE」に対応した「AI eBASE」なので、今までのどんなビジネスモデルにも全部引っ掛かる。
発表後、お客様の所へ提案に行っているが、すごく引き合いは強い。
そもそも数年前から「導入している商品DBのAI対応はできないのか?」という話は来ていた。
おそらく他の企業はフルカスタマイズでやっていると思うが、他の企業だと優秀なAIエンジニアによって時間単価数百万円で1年かかるようなものが、我々のパッケージソフトでカチャカチャとぶつけるだけで70点のものができる。
そして、1人月(にんげつ)くらいでほぼ80~90点になる。
今年後半で数字が上がるのではないかと期待しているところ。
(質問者:つまり、安いコストで、スピード感を持ってできる形になっているということ?)
仰る通り。
先に結論を言うべきだった(笑)
(続く)
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