eBASE株主総会2025(1)株主総会編その1(★★★★★)

株主総会・説明会

7年連続7回目の参加となります。
この連続参加記録はできるだけ伸ばしていきたいと思います。

午後開催というのがありがたく、少し離れた宿泊先からもアプローチできるため、関西旅行をセットしやすいです。
(この日は丹波篠山から来ました)

なお、いつもの会場の大阪新阪急ホテルは再開発で建替となるため、場所が変更となっております。

今回は特に、先方の事業推進戦略にある種のpivotがあったこと、参加された株主の質の変化が感じられたこともあって、内容盛りだくさんの株主総会・説明会となりました。

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株主総会

日時・場所・お土産

2025年6月23日(月)午後1時

大阪府大阪市北区豊崎3-9-1
ホテルビナリオ梅田 太陽の間

お土産 無し


これまでは奥からスクリーンや議長席が見えにくい縦長の会場でしたが、今回は横長の会場となりました。

座席数は115、40名程度の出席であったと思います。
少し人数が減った印象です。


議長は岩田社長。
冒頭の挨拶からして、だいぶ場慣れした感がありました。


監査報告は監査等委員の永田取締役から。


事業報告は岩田社長から。

前回から原稿読み上げ型ではなく、スクリーンに投影した資料をもとに岩田社長より直接ご説明いただくスタイルとなっています。

今回は業績の数字に関わる部分は最低限に留め、以下の動画の前半部分にあるような、ビジネスモデルの説明や事業推進戦略の説明が主となりました。

「対処すべき課題」等は、引き続き「招集通知記載記載の通り」で済ませています。
(余談ですが、今回から有価証券報告書の記載内容が大幅にリニューアルされていますね。)

2025年3月期第24期個人投資家向け説明


決議事項は以下の2つです。

  1. 取締役(監査等委員である取締役を除く。)5名選任の件
  2. 監査等委員である取締役2名選任の件

(13:30)

質疑応答(1)

(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)

岩田社長が主に対応しておりましたが、常包会長や窪田CFOもその役割に応じて説明をする場面が多く、またお互いが他の方の説明を補足していくようなチームワークも随所で見られました。

この現体制になってからのフリースタイルな進行ぶり、私は嫌いではありません(笑)

【質問1】
取締役会での監査等委員の役割の遂行状況について伺いたい。
当社の経営執行は常包さんのビジョンを岩田さんが具現化していく形で経営されているという認識。
執行側の強いリーダーシップの下、監査委員の方々は取締役会でどんな課題認識を持たれてご自身の経験をもとに日々提言されているのか、直接お伺いしたい。

併せて常包さんや岩田さんとしては、どのような提言が役に立っているのか、特にtoCの部分で課題がある中でどういったところを補完していただきたいのかについてもお伺いしたい。


毎月役員会に参加いただき、最新のテーマや通期の数字に対してご意見をいただいている。
個別の各役員の得意・不得意な分野はあるが、得意分野については我々が気付かないような点での改善点や経営方針の変更に関すること等アドバイスをいただいている。
また我々の発言を含めて、かなりプレッシャーとなるような指摘等もいただいている。

(質問者:監査等委員のどなたか1名だけでも、具体的にどのようなことをお話になっているのか、ご発言いただければ)

(永田取締役)
質問のご回答として相応しいかどうか分からないが、まず社外取締役という立場は、会社法で定められた業務執行から独立している。
取締役会では、経営判断に関与して、堅く言えば監督・助言ということになるが、常に取締役とのコミュニケーションを密にして、その業務の進め方に課題はないか、さらにいい方法がないかという話をしている。
業界に特有の課題がある中、身を置いていた業界が監査等委員はそれぞれ異なるので、それぞれの得意分野での助言を取締役会でも行うし、日頃の活動の中でも行っている。

→ 特にtoCの分野でどのようなご助言がなされているのか、私も聞いてみたかったです。

【質問2】
株主総会の場ということで、常包会長にお伺いしたい。
質問は生成AIに関して。
現在、Lazuli PDPのような生成AIを活用したサービスが実際に出てきており、ヤオコーやロッテに採用されているのをPR TIMESで目にしたりしている。
生成AIはビジネスの存続を危うくしかねない脅威なのか、あるいはビジネスの可能性を広げる機会なのか、こういった脅威と機会という両方の視点から、会長のお考えをお聞かせ願いたい。

(私からの質問です)


(常包会長)
10年以上前、いやもっと前になるが、私の大学時代の教授が安西先生という日本のAIの権威であったこともあり、その頃から偶然にもAIには接触してきた。
でも、AIが第2世代に入った頃、Pythonという言語が出てきた頃にも、我々はやらないと決めていた。
AIは必ずコモディティー化される、日用品化される、だからベースのところの技術は要らなくなると予測した。
で、ChatGPTが一昨年に出た途端に、一気に我々もAIに走っていこうと、ユースウェアとして使っていこうという発想で始めた

普通のAI利用に留まっていては世の中に我々は負けてしまうが、我々は商品情報というデータを持っていて、データを持っているからこそのAIの使い方があるはずだ

我々の「データを持っている強み」を活かしたAI として、食品業界では食品の細かな原材料や添加物の情報を持っており、それらを使った法規点検の整理ということで、先日新聞発表させていただいたのが「AI点検」。
これにはデータが必要で、一般的な法務情報を持っているだけでは判定ができない。

一方で脅威となるのは、世の中のネットでは商品情報はたくさん出ていて、それらをクローラーで取っていきAIで整理すれば商品情報ができてしまうこと。

だが、ネットには出ていない情報が実はある

例えば皆様のお手元にある商品の1個1個の重さは出回っているが、ダンボール箱に入った重さ、ダンボールを何個上積みしても倒れないかとか、箱の中身が柔らかいものだと二段三段しか積めないとか、そういった情報、もしくは物流の最中の温度管理といったものは一般消費者向けの情報ではないので、ネットには出てこない。
その部分でのアドバンテージがあるので当面は大きな脅威にはならないとは思うが、近い将来、大きな脅威になり得るとは感じている。

そのために今、我々が何をすべきかということが、実は2nd eBASEの戦略の中に込められている。

(岩田社長)
若干補足させていただくと、企業間の商品情報交換においては、商品の「発売前に」情報が必要となる
大きい小売さんになればなるほど、色々なシステムに連関させていく必要があるので、発売の3ヶ月前に商品情報が求められる。
この時期には当然ネットには出ておらず、企業の基幹システムを動かす、もしくはチラシに載せる準備をするといった、BtoBで求められる世界においてネットにある情報を使うことは非現実的と考える

→ 常包会長より、健全なる危機感に基づく、バランスの取れたご回答(そして、2nd eBASEに関する含みのあるご発言)をいただくことができました。
そして岩田社長の方からの補足説明(岩田社長から補足いただくのはレアです 笑)にも納得感があり、2nd等で脇を固めて参入障壁を強化していくための時間的アドバンテージは未だ大きいという印象を持つことができました。


やはりメーカーさん自身の入力による、「どこよりも正確で詳細なデータが生まれる瞬間」をeBASEがしっかりと押さえていることは、生成AIがより身近になる時代にあっても揺るぎない強みであることは間違いないでしょう。

「AI点検」に続く、「データを持っている強み」を活かした新サービスのリリースにも期待しています。

【質問3】
B2B2CでのDX導入について。
小売から評価はされながらも、なかなか先駆けしたがらないという状態が何年も続いており、歯がゆい思いをしている。
昨今のDXは、やった者が勝つという時代から、やらなかった者が負けるという時代に来ていると思う。
昨年、会長が仰った「新聞は近いうちに無くなる」という発言も踏まえると、今頃は横一線のような状態ではなく、我先にと導入して、遅れを取った企業が順番待ちをしていてもおかしくはないと思っている。
会社側で営業のテコ入れなど見直しにする時期に来ているかなと思うが、いかがか?


(岩田社長)
先ほどもお話しした通り、我々も5年くらいでチラシは無くなると思っていて、ただそれを直接的に言うと「分かっている」「まだ先のこと」といった感触になる。
それを受けて、チラシの制作業務の改善を提案することで、そこにはデジタルチラシがバンドルされているので、結果的にそのツールをコスト改善のために導入してもらうということで、マニュアルや顧客リストを整備してあたるというように、営業手法を変えた。
また提案書を営業経由でなく、ネットやメルマガ含めて別の形で届ける方法も考えていきたい。

(質問者:第一歩目としてどうか?昨年より進んでいる?)

昨年の後半から提案方法を切り替えて、早速受注が取れ、スモールスタートで一斉に全店舗というわけではないが始まっていて、それを他の小売業に持って行って数社から好反応があった。
以前よりは手応えを得ている。
ずっと名前が挙がっているマキヤさんは全店舗でスマホでチラシが見られるように変わってきている。
少しづつだが進んでいる。

(常包会長)
中長期戦略担当の常包から。
先ほど岩田から説明があったが、我々の2nd eBASEの進め方、営業活動に間違いがあったことに気が付いた。

DXについては、小売の「各担当としては」興味が無い。
各担当者には自分の業務があり、その「自分の業務の」課題解決には興味があるものの、それ以外の、先のDXとなると自分の担当ではないという認識がある
例えば、チラシを制作している人は、チラシを制作することが担当業務であって、チラシが変わったらどうなるかは関係が無い。
そこに我々は気が付かなくて、先の話、先の話ばかり、「あるべき姿」のことばかり言っていた

そこでさきほど岩田が申したように、「現状の課題解決型から」我々のDXへと行くシナリオ、ストーリーを経て提案できるように変えた。

この形の営業活動に変えて数社にあたってみると、やはり反応が大きく違う。
「先々こういうふうに変わるでしょう」「DXですよね」って言うよりも、「今」こういう課題があって、その課題に対して我々で言うところのチラシ作成支援システムを使うと、「e食住ちらし」がセットが付いてくるんですよ、チラシも無くなりますよね、そうなればそこのコストダウンもできますよね、その減らしたコストの分を使って「eB-DBPちらし」という課題解決型のソリューション、その後のDXソリューションを展開していきましょう、というのが当たっている印象。

それからもう一つ、経営者もそうだが、DXは何の目的のためにあるかというと、コストダウンと売上アップ。
そこのところの我々の「e食住なび」「2nd eBASE」の説明の仕方っていうのも、CXという言い方に関して、CXが小売にとってどうコストダウンになり、どう売上アップになるのか、そこのシナリオ、ストーリーもうまく説明できていなかったという、大きな二つの反省点を踏まえて、今、岩田が一気に2nd eBASEを推進しようとしている。
ぜひご支援ください。

→ 私も2ndの行き詰まり感は気になっておりましたが、「意識高い系」で突き進んでしまった間違いに自ら気付き、地に足のついた形へと軌道修正できたのは良かったと思います。この「急がば回れ作戦」は奏功すると、私も信じております。

【質問4】
東証の市場区分について。
来年3月で猶予期間が終わり一区切りということで、プライムに残れるのは1,600社くらいだと思うが、その中で当社は売上高・営業利益は規模からすればワーストに近い状況。
流通時価総額も100億円未満かと思う。

例えばスタジオアリスなどは、全ての基準はクリアしていても、プライムの維持コストが高くリソースも割かれてしまい割に合わないということで、スタンダードに区分変更した。
一般消費者向けの事業で、プライムに居るメリットもありそうなのに。

御社は今後もプライムに上場し続けるのか、もしくは株価にマイナスの影響があったとしてもスタンダードへの移行についても考えられているのか?


(窪田CFO)
残念ながら、プライムに残るかスタンダードに行くかというのは我々が決めることではなくて、東証さんのガイドラインに拠るもの。

その意味で現状からいけば、我々がプライムから外れるかどうかに関しては、業績を頑張って株価を上げれば少なくとも外れる、強制退場するということはないので、そのルールの中にいる限りはプライムに居られる予定。
わざわざ我々から、退場と言われていないのにスタンダードに変えるということは無い。
そんなにコストも変わらないと認識しているので、今しばらく皆様のご声援をいただき、なんとか株価を向上させていきながら、プライムに残れるようにしたい。

一番ポイントになっているのは流通量、出来高の問題。
こちらは今のところは大丈夫だが、これ以上株価がどんどん落ちていって暴落ということになると、ジャッジメントの時に流通量の部分に関して影響が出てくるので、なるべく最低ラインを下回らないようにこれから上げていきたい、プライム市場で頑張っていきたいと思っている。

→ 今のところ自社株買いを温存しているのは、この対策用ということもあるのかもしれませんね。

(続く)

今回はのっけから密度の濃い質疑が続きました。株主が段々とガチの方々に絞り込まれてきた印象を受けます。更新の励みになりますので、引き続きポチ↓をよろしくお願いいたします。
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コメント

  1. なおやん より:

    4月のトランプ関税でわちゃわちゃしたタイミングでeBASEさんの株主に参加しました。皆さんの質問内容が濃くて素晴らしいです!そしてそれをブログにまとめてくださるろくすけさんに感謝します🙏

    • 6_suke より:

      いいタイミングで買われましたね。

      励みになるコメント、ありがとうございます。

  2. 伏見の光 より:

    ここは私は追いかけていなくてビジネスモデルすらよくわかっておりませんが・・・
    >「現状の課題解決型から」我々のDXへと行くシナリオ、ストーリーを経て提案できるように変えた。
    >この形の営業活動に変えて数社にあたってみると、やはり反応が大きく違う。
    というあたりが興味深いです。

    個人的には自分が投資しているところを連想しながら他社の話を聞くようなところがあります。
    顧客の課題を解決する、それも顧客自身が気がついていないようなところまで先回りして提案する、
    その効果を顧客に認識してもらえれば個々の製品はかなり高くても買ってもらえる、これキーエンスでよく言われる形ですが、ちょっと共通する面があるかな、ないかな。

    >株主が段々とガチの方々に絞り込まれてきた印象
    ですねー。

    こうなると「よくわかってないけど来てみた」系の人は度胸がないと、あるいは空気読まない系でないと発言しにくくなるかなーという気もします。

    キーエンスの総会でも以前に分割のことを聞いたら、総会後におばちゃんが「こうやって書いてきたけど言えませんでしたー、言っていたたきありがとうございまし~」と言いこられた方がありました。

    • 6_suke より:

      キーエンスは顧客以上に顧客のことが分かっているんじゃないかと思うこともあり、徹底していますよね。

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