ディスコ株主総会2026(2)(★★★★★)

株主総会・説明会

質疑応答の続きです。

質疑応答(2)

【質問6】
前期のROEは25.1%。
その前は27~28%あったと思うが(2025/3期:27.6%)、下がった原因は何か?


(ROEが)ちょっと減っているのは仰る通りだが、分子も増えている一方で分母がより増えている。

→ ええっ?て感じのアッサリ回答でした。

【質問7】
コロナ前は総会で社内見学会をやられていて自分も参加したことがある。
コロナ禍でできない状況になったことは分かるが、会社を気に入って持ち続けたい人間としては、現場の機械や社員さんが頑張っている姿を見たい。
そういったものをやってもらえるかどうか、あるいはできないということなのか、お聞かせ願いたい。


(現在やっていない)理由は2つある。
1つは、当時はまだ株主数が少なく、来場者は本社の会議室で収まるだろうと予想していたこと。
本社で株主総会をやるのなら、その帰りにご見学いただこうという流れは自然だった。
コロナ禍に入ると総会の運営の縮小を余儀なくされ、外部の方を社内に入れるということはどの会社もやれなくなった。
コロナ禍が終わってみると、株主数はそれまでの数倍になっており、本社の会議室に収まりきれない可能性が出てきて新たに会場を探さなくてはいけなくなった。
同じ大田区でいい会場を見つけたということでここに決めたが、そうすると見学会に繋げられない。
もう1つは、ディスコのお客様は世界中のトップハイテク企業で、社外秘の情報をいっぱいお預かりしていることがある。
そこに、株主といえどお客様から見たら部外者の方が入り、万が一情報漏洩が起こったらどうするかという説明を求められた時に、やはり説明が難しい。
株主総会はどこか他の会場でやればいいじゃないかというのが、お客様側からの見方。
そういった背景があるのと、色々な株主様がいらっしゃって中には社員に見学会の時に過剰要求をされる方もあり、社員としては冷たくあしらうことができず丁寧にお断りするのが物凄くストレスとなるということもあって(→かつて見学会でどういう要求があったのかは気になります)、コロナで一旦リセットし会場も変わったので、今のところ見学会は考えていない。

ただ、ホームページから入るバーチャル見学会のようなものは、技術的には可能。
そこでは何を出すかということが100%コントロールできるので、具体的に検討しているわけではないが3次元でVRで見せるということは研究しているので、その延長でそういうことができる日が来るのかなとは思う。
具体的にいつということは申し上げられないが。

【質問8】
利益に対しての設備投資額が他社と比べて若干少ない気がする。
使い道として自社株買いなどの株主還元をするのはいかがか?


まず、設備投資については全く我慢をしていない。
必要な設備投資予算を全部積み上げて、それが会社の体力を超えるような金額であれば少し様子見しようということにもなるが、必要な設備投資を行ってこの規模なのであり、仰る通り他社比でも比較的控えめな数字となっているということをご理解いただきたい。

自社株買いについては、1株あたりの純資産金額よりも株価のほうがはるかに高いので、すればするほど会社の価値が下がっていくというのが今の状況。
PBR1倍以下の会社の場合は、その値段で買えるんだったら安いんじゃない?ということで積極的に考えた方がいいが、弊社の場合は11倍になっているので基本的には合理的ではない。

ただ自社株買いをすると、多少1株あたりの利益は将来的に増えるので、アナウンス効果で株価が上がる効果は若干あるが、プロの投資家、機関投資家はそこは見ずに、なんで価値に対して割高に買うのかと逆に反対意見をいただく。
個人投資家の方は自社株買いをすると株が上がるんじゃないかということで歓迎されるが、弊社の場合はプロの投資家が持たれている浮動株が9割を超えるので、プロの投資家視点の判断をしないといけない
彼らがディスコを見限って大量に売ると株価が下がる最大の原因になるので、プロの投資家のロジックを大事にせざるを得ない

→ 個人投資家しか参加しないと言っていい株主総会で、会社としてはプロの方を向いていると言えるのは強いなぁ…と思いました。

【質問9】
株価が高いのは喜ばしいが、これからどんどん下がっていくかもしれないと心配になる。
今日の説明ではこれからの事業戦略についてあまり聞けなかった気がするが、AIブームに乗っかってどんどん成長させていくような戦略を持っていてまだ伸ばしていくんだと、だから株の価値も上がっていくんだという強いメッセージをいただけるとありがたい。

また、買い足したいとも思うが、1,000万円近いお金をポンと出せるものでもないので、株主を増やすためにも分割していただき、事業も伸ばしていただくことで裾野を広げていって欲しい。


10年前も同じような質問をいただいたが、当時もハッキリしたことは申し上げられなかった。
例えば、AIが出現して半導体市場をこれだけ大きくするということを10年前に予測できた人はなかなかいなくて、孫さんですら予測できなかった。

構造的な話をさせていただくと、半導体業界には「大量の資金」がある。
そして「大量の頭脳」がある。
その人たちが日夜新しいものを作ろうとして、ハードワークで物凄く研究をしている。
何かを生み出し続けられる構造が出来上がっている。
それが今回のAIに繋がっている。

その半導体にあった構造がAIにも引っ越していき、AIブームによって「大量の資金」と「大量の頭脳」がAI分野に流れ込んだ。
アメリカのドクターを持っているような人が大量にAIに行って、色々な研究をしている。
そうなれば、何かが生み出され続けると考える方が自然で、これでAIが終わってしまうはずがない

今後、半導体はAI以外の何かも生み出すし、AIはAIで、AIを使った何かを生む出すという、二重のエンジンを半導体業界は持っているので、「ディスコがこうしたいから、こうなるんだ」というより、業界自体に猛烈な成長の構造がある

そこでディスコは何をするのか。
そうした最先端の半導体やAIを開発されるお客様が何かを進歩させるときに必ず出てくる、「Kiru・Kezuru・Migaku」を高度化してくれなければ困る、今までの方法では切れない、だから新しい機能を考えて持ってこいという話は、まず間違いなくディスコに相談される
それをいかにちゃんとやるか。

そういうお願いは、最もできそうなところに頼むはず。
皆様だって病気になったら、最も治してくれそうなお医者さんのところに行くわけだし、安いからといってその辺の医者には行かない。
特に難しい課題であればあるほどそうだと思うが、そこでディスコは必ず何らかの解を出す
今までも多分、解を出す率は9割を超えているのではないかと思うが、それをやっているからこそ、常にディスコに最初の相談が来て、ディスコがそれを解決してしまうから、競合には最初の段階で話がいかない
3~4年経ってある程度その技術が成熟すると、ディスコは高いから少し安くするために競合に相談したくもなるかと思うが、その頃には大量の機械を納入しお客様と実績・信頼関係を作ってしまっているので、そう簡単には競合にスイッチできない構造ができるというのが、弊社の強み。

最先端の市場は成長を続ける。
そこでうちが今のポジションを絶対に失わない。
最初に相談され、必ず解を出すことで、ポジションを失わないというのが弊社の基本的戦略
AIの次に何が来るのかは予想できない。

なので、そこを予想してそこに行くというより、どんな進化があってもそこにはディスコがいる、そこを壊さずに強くしていくというのが弊社の戦略。
それを本当に30年やってきた。
30年前に比べると時価総額は600倍になっている。
具体的なことは私にも言えないし、わかってもいない。
ただ、必ず相談をしてもらって答えを出す、それを続けるというのが弊社の必勝法。

株式分割については、先ほど申し上げた通り浮動株の株主の9割以上が機関投資家であり、機関投資家は全く分割は要求しない
なぜならば、株式分割しても企業価値が増えることはないというのが彼らの考えだから。
基本的に、時価総額が株式分割で増えることはない。
アナウンス効果で一瞬株価が上がることはあるが、下手したら2~3週間で元の水準に戻る。
機関投資家はどちらかというと株式分割にはネガティブで、株主数が増えるとコストも増えると仰る方もいらっしゃる。
株式分割をしたら買いやすくなるのは事実だが、株価が上がるかというとそれは瞬間だけだと言われている。

もう一つ問題がある。
ミニ株を各証券会社がやられているが、ミニ株制度を使っていただくと1株からなので8万円で買える。
だから仮に10株単位で買いたいということであれば、ミニ株制度で買い足すことも可能。
ゆえに東証や国が言う、50万以下で買えるようにしましょう、10万円以下で買えるようにしましょうという要請に対しては、「ミニ株制度で満たしていますよね?」という話をしている。
東証さんも「それはそうなんですよね」と言って帰っていかれる。

一方、本当に弊社が10万円以下で買えるようにしようとなると、100分割しなければいけない。
そうすると1株800円となるが、ミニ株制度は残る。
つまり、分割してしまうとディスコの株が800円で買えることになる。
一方で株主維持コストは、色々なものを郵送したり、配当を送金したりするので年間2,000円かかる。
800円で投資いただいた方の1年分の事務コストが2,000円。
そんなことには実際にはならないが、仮に全ての株主が1株株主になったとすれば、うちの会社は20兆円の事務コストがかかる。
100分割するとディスコの株は100億株になり、全人類が1株ずつ持っても足りないのでそんなことにはならないが。
ミニ株制度と単元株制度は、東証がセットで解決してくれないといけなくて、ミニ株制度を残したまま分割をさせるのは違うのではないかという話を東証さんには言い続けている。
ミニ株制度は各証券会社がサービスとしてやっているので、東証さんとしても手が出せないということでデッドロックになっているというのが現状。

→ ご回答の前半の「必勝法」は大変説得力のあるお話で、これを聞けただけでも足を運んだ甲斐はあったと思いました。後半の株式分割については、極論に関してはともかく、株式分割に対するスタンスについてはまあそうでしょうねという感想です。

【質問10】
このところの生成AIの市場の成長について、仮に2~3年ということで考えた場合、御社のほうの成長は去年、今年、来年と比べてどのようなペースになっていく?


あまり変わらない。
というのは、弊社だけが生産量をすごく増やしても、AI用の半導体を作るためにはものすごく多くの会社の機械・材料が必要だから。
弊社が仮に生産量を3倍にしたとしても、他の会社が3倍にできないと、AI用のチップの生産量は3倍にならない。
皆の足並みが揃わないと増えない構造にある。
弊社は取りこぼしはしておらず、取れる成長要素はここ3~4年全部取っているので、弊社の成長が業界のトップスピードだと思う

他の領域に出ていってそこをやるということに関しては、自社で開発する方法とM&Aでやる方法とがあるが、M&Aで売上を増やす会社は統計的には9割以上残念な結果となっているので、弊社はM&Aで売上を伸ばすことはやらない。
自社で開発して、新製品を出して、そこで市場を取っていくのは今既にやっていることでもある。
M&Aは売上を増やすのは早いが、後から買収先の悪いところが出てくる。
M&Aで良かったねと言えるのは、10に1つくらいかなと思う。
ということで弊社はオーガニックな、自力での成長にこだわる。

弊社の社員を増やすことにもその速度に制限があるし、業界全体、他のサプライヤーさんも増やしてもらわないと、弊社だけ増やしてもお客様は困ってしまうという構造があることをご理解いただきたい。

【質問11】

  1. 午前中に孫さんのお話を伺った。
    孫さんはAIオールインで、16倍、16年後に1,000兆円と仰っていたが、この業界がリニアにそういう風に伸びるとしたら、ディスコもそうなるのか?
  2. 株式分割に関して。
    色々な会社の株主総会に出ているが、こんなに品のいい株主総会は無い。
    某社の総会では、会社を辞めた方から「なんで私に最後に草取りをさせたのか?」という質問もあった。
    御社には「8万円の壁」を守って、ぜひ品のいい株主総会を続けていただきたい。

1⇒
孫さんのところはメーカーではなくて、本当に色々なところから要素を集めてきて、絵を作り、それをビジネスにしていくというビジネスモデル。
弊社の場合はメーカーで、自社の工場を建ててそこで生産能力を増やしていくということなので、孫さんの言うようなことは絶対言えない。
とはいえ孫さんが描いている絵のおかげでAIの市場が大きくなり、弊社の装置もたくさん必要になるので、そこは全力でやる。
先ほど述べたような製造装置の会社も全部メーカーなので、来年から3倍作れと言われても絶対無理。
機械を売っている、モノを売っているメーカーが、孫さんの言うようなジャンプするような伸びというのは買収でもしない限り起きない。
ただ孫さんとはほぼ同じ方向を考えており、AIの寄与はまだまだこれからだと思うし、そこに必要な半導体は増え続けると思う。
それをとにかくうちが全部取るということは、ものすごい執念でやっている。

2⇒
株に関しては、本当に分割しろという意見とするなという意見と両方ある。
貴重な温かいご支援のお言葉として受け止めさせていただく。

【質問12】
取締役の女性登用に関して。
社外ではいるが、社内からも登用する予定はあるか?


部長も課長も役員も、作ろうと思って作れるものではなく、適切な人材が社内で成長してきて初めて生まれるものなので、弊社の場合は世の中で言われている男女半分ずつにするといったようなことは良しとせず、なりたくて能力と意志を持った方がなるというその結果がこの比率。
社内に関してはそれでやっている。
一方で社外に関しては、意志と能力がある人を探しているので、その比率を高めることはできる。
社内から意志も無いのに登用されてしまうと、本人にとっても全く幸せにならないので、意志があることを大切にしている。
いずれは社内取締役も生まれると思うが、今のところはその兆候は見えない。

【質問13】
私は株式分割はして欲しくないと思っている。
値がさ株の株式はお金持ちしか買えないので、ある程度のレベルの投資家の方が株主になっているイメージ。
たまたま昨日は東京エレクトロンの株主総会に出たが、質疑応答のレベルが高かった。
かたや20~30万円で買えるようなところの株主総会に出ると、そんなこと言っても仕方ないだろうと思うような、しょーもない質問ばかり。(会場笑)
こういうハイクラスでレベルの高い総会を続けていただくためにも、私はどちらかと言えば株式分割はして欲しくない派。

今後の見通しについてお聞きしたい。
孫さんやイーロン・マスクさんが言うことは流石に風呂敷を広げすぎではないかとは思うが、御社が広島県の工場を大きくするということは、やはり半導体のマーケットが大きくなるからなのだろう。
私は3年くらい前に株主になったが、その頃は世界の半導体マーケットが確か30兆円くらいで2030年にはそれが100兆円くらいになると聞いて買った覚えがある。
それが今年1兆ドル=160兆円を超えるという話になってきている。
人の採用のこともあるだろうし役員会でも(これからの市場規模について)議論されていることと思い、それがこのような場所でしゃべれることではないとは分かっているつもりだが、社長個人の胸の内として2030年ではどれくらいの数字をイメージされているのか、外れても構わないので教えていただけたらと思う。


弊社のここ数年の伸びは生成AIが大きな追い風。
このAIみたいなものが今後いつどう出てくるのかは予測できない。
そちらからの予測ではなく、和田木さんという半導体業界のアナリストで準備をしっかりしてこられる方がいるが、弊社が売上高1,000億円を超えた時に、「関家さん、ディスコ3,000億円行くよ」と言われた。
「やっと1,000億円を超えたんですよ、何を言っているのですか?」と言ったら、「自分の経験から、1,000億円を超えた会社はまず行ける。そこから1兆円になるかどうかは会社による」と返された。
その時は3,000億円なんてありえない数字だと思っていたが、予言通り3,000億円を超えた。
次に1兆円に行くかどうかは会社によるとのことだが、でも行く会社があるとすればうちだろうと。
もの凄くみんなが前向きに働いてくれているし、そんな社員が多い会社で、業界の成長にも恵まれている、そんな三拍子の揃ったディスコが3,000億円から1兆円にならないとすれば、手前味噌にはなるが、うちがならないんだったらどこがなる?という思いがある。

だから1兆円になっても供給できる体制を、やりすぎないようにしながらも意識している。
郷原工場は土地がかなり広い。
土地自体が安いので大きめに買って、いきなり建物を全て建ててもやりすぎになってしまいかねないので、まずは一期で1/3弱、これでも今の生産能力の倍になり、二期・三期もやると自動化も進むので8倍くらいは作れるようになる。
そうするとその製品だけで10倍を超える計算になる。

計画を作るといろんな無理が入り、いわゆる数字を組み立てる仕事が増えて会社がおかしくなるので、目標にはしない。
だけど、行っても大丈夫なようには準備はしておく、というイメージでやっている。

(質問者:世界の半導体市場の予測は?)

それを私に予測しろと!?(会場笑)いやいや…。
今回生成AIでジャンプしたが、過去からのトレンドを直接でつなぐとそれでいい感じになると思う。
もしも二次曲線的に上昇していくんだったら、それでなぞればいい。
ものすごく多くの参加者がいるという業界なので、一つ一つの成功を見るというよりは、全体の流れの方が優勢になるというイメージになる。

→ 株式分割をして欲しくない、レベルを保って欲しいというような意見が複数出るのも特徴的ですね。


(続く)

ユニークな質問・意見とご回答ぶり。聞いているだけでも面白いです。
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コメント

  1. いそっこ より:

    社長さんの回答も明確で素晴らしいですね。
    値かさ株の総会にはそれなりの資金を投資できる人しか来れないからか、確かに非値かさ株の世界に比べると違いがあるように感じられ、その感じを維持したがる人がここまでいるのかと参考になりました。
    但し、株主さんが自社の事を「御社」(関係者外の人が使う言葉では?株を売却したなら総会に出ているのはどうか?)とか大株主でもある社長さんが「弊社」と出資者である株主に対して自社の事をへりくだって言う必要あるのか?など変に引っ掛かり、値かさ株の世界だからこの辺もしっかりしていることはなさそうだなぁとも思ってしまいました。

    • 6_suke より:

      そういえば以前、「御社」に関して同じようなコメントをされていた方がいらっしゃいました。
      私は、会社は株主のものというのも分かりますし、会社と株主をいったん切り分けた上で話をするのも分かりますし、一般的に通じるのでどちらでもいいという考えです。

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