(本社が入居している、会場のビルです。)
質疑応答の続き。
今回がラストです。
質疑応答(3)
【質問9】
- 1年前もお聞きしたが、流動性に対する考え方をお伺いしたい。
- 配当については個人的には低いと思っているので、配当性向も含めて今後に対する考え方をお伺いしたい。
- 若い方が株主総会に来られ、意見を述べられている。
若い株主が時代を変えるのではないかと成長期待を持っていらっしゃることと、公共関係主体で安定重視と思われる会社の考え方とのギャップを感じる。
若い方に向けてのメッセージを。
3⇒
(宮崎社長)
会社として、株主様から期待されるのは非常に嬉しいこと。
その中で期待に応えられていないことに、努力不足であると認識している。
中計については、前も話したかもしれないが大昔に一回出したことがあり、そこで断念してずっと出していなかった。
今回進行している中計、そして来年出す中計は、未来志向でいかないといけないということで、より先のこと、向かっているところを出していこうとしている。
会社が向かっていく方向としては安心安全分野から幅を広げて「エッセンシャルカンパニー」という表現をさせていただいたが、要は世の中の困っているたくさんのことに対して、ITであったりDXであったり、世の中の役に立つものをどんどん出していきたいという想いを株主様にも伝える意味で、中計を出させていただいている。
先々、事業の幅は広げていく。
今は官公庁中心で、直接的に人助けをしている方々のお手伝いをするということをやらせていただいているが、「困っていること」の幅を広げていく。
IRでも出しているが、半官半民の分野にも進出しており、培ったノウハウを民間に拡げる努力をしており、次の中計にも反映させていく。
成長が亀のようだと言われることもあるが、その中でもお役に立てることは非常に増えているので、お役に立つとともに利益を増やし、皆様にも配当を含めて還元していきたい。
次の中計も楽しみにしていただき、未来志向で見ていただければと思う。
1⇒
(岩田取締役)
流動性の低さは以前からご指摘のあったところで、IRとしては業績をどう伸ばすか、それをどうお伝えしていくかに尽きると考えている。
手元資料では、個人株主は新NISAの影響もあってか、今年1割ほど増えている。
ただ株価の方は業績が伸びても上がらないことを、会社として憂慮している。
「株価を意識した経営」について大手を振って言える環境になったので、今後皆様に色々な情報発信をしていきたいし、将来的な利益の源泉を手に入れたところで、またこれからも手に入れていくので、株を持っていただいている皆様のご期待に沿えるようにやっていきたい。
2⇒
(岩田取締役)
配当については、「累進配当」ということで方針を変更させていただいた。
以前は赤字の時期もあり、その中でも配当は続けていたが、ここのところクラウドビジネスが積み上がったことで、ある程度安定的な利益も出るようになり、増配を続けていける状況となった。
プラス自己株買いということで、これをM&Aに活用したり、社員に対する業績評価給のような形で割り当てたり、多方面の使い方を考えている。
招集通知には自己株式として2.9億円が記載されているが、株数は229千株なので、取得単価は1,300円。
現在の株価は2,000円前後ということで、過去買った自己株式がここまで価値が上がっているので、これをさらに上げられれば、M&Aに使う時もより資金を効率的に使える。
業績・IRを合わせて、資金の効率化を考えてまいりたい。
(宮崎社長)
昔は「安定配当」を掲げ、赤字でも出していた。
今は「累進配当」に変えさせていただいているが、これは事業環境が整い、ストック型ビジネスのおかげで見えてきた部分もあるので、いくらであるとか、配当性向をどうするとかは言えないが、今後できるだけご期待に沿えるようにしたい。
少なくとも積み増していくつもりは持っているので、累進配当を打ち出させていただいた。
【質問10】
- 中計で売上高50億円、従業員200名という目標が掲げられ、多角化をうたわれているが、官公庁向けビジネスのSaaSでは、そこまでの道筋がなかなかイメージできない。
その内容についてご説明いただきたい。 - 海外事業については見据えられているのか?
1⇒
仰っていただいた数字は、「そこまでになったらいいな」という数字としてご理解いただきたい。
多角化のうち、まず官公庁について。
大手がやっているお仕事は、新しい環境になかなかなっていっていない。
新しい環境にすることによって、新しい仕事が出てくる。
我々のメインにしていたのが安心安全分野だが、その分野に加えて役所の中でも人手不足への対応のニーズが出てきている。
DXが言われているが、これから色々なハードの中にAIが入っていき、クラウドにつながり、人の代わりにやってくれるよということが、時代の流れで出てくる。
我々は単体ではそこまでやれる企業規模ではないので、tiwaki社もその一つだが、AIで画像認識をするなど自分たちの得意なところを探し、相手先を見つけて展開していこうとしている。
安心安全分野から人手不足の方に進めていきたいというのが一つ。
実は私も台風のさなか、株主総会に戻ってこれる前提で…後で怒られたが(笑)、出張に行っていたのだが、民需の方でも官公庁のノウハウを活かせる。
「止めない」ノウハウについては、お客様もTVの方で目にする機会があって「使えるんじゃないか」ということでお声掛けいただく機会が増えた。
ということで、官公庁のノウハウを民需に持ち込むこともやっていて、実績もできてきている。
基礎技術は、基本的には官公庁・民需の両方に使えるものとしてやっていこうとしている。
多角化する中で、サービスだけにするのか、例えば付随したカメラも扱うのかといったところで数字も変わってくる。
幅の方が広がってくれば、自然と数字も広がっていく。
次の中計はいま準備しているところで、2032年までハッキリと見通せているわけではないが、やっていこうという意気込みは持っている。
→ 自分たちの規模をわきまえ、専門性を活かせる領域で伸ばしていこうという、基本的な考え方がいいですね。
2⇒
中計では正直なところ、海外については見据えていなかった。
が、オファーはいただけるようになっていて、可能性は感じているところ。
システムの中で止めない努力を最大限するという面で評価されている部分があり、ひょっとしたら打ち出していけるかもしれないと模索している。
実際やるとなれば次の中計で触れるつもりだが、今のところは「検討中」というのが正直なところ。
進行期の中では考えていない、というのが回答となる。
以上で質疑終了です。
(11:29)
議案の採択を経て、閉会となりました。
(11:31)
所感
事前質問1つ、会場での質問が10と、かつてなく活発なコミュニケーションがなされた総会でした。
(この記事も、まさか3回にわたることになるとは思いませんでした。)
多くの株主に共通するであろう問題意識も、経営陣にダイレクトに伝わったことと思います。
tiwaki社グループ化の意義、そして目下準備中の次期中計に向けた感触も含め、未来志向が感じられて個人的にも収穫が多かったです。
ただ惜しかったのは、ややIR姿勢に対する質問への準備不足が感じられたことです。
次回に期待しましょう。
以上を踏まえ、評価は★5つに近い★★★★☆とさせていただきます。
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コメント
総会レポートありがとうございます。
読んでいる限り、基本そんなに悪い会社には見えませんが「何か抜けている」感じがしてなりませんでした。
全然やってないかというとそうでもない気はしますが、ベクトル違いや、ポイントを外したことを各方面でやってないか気になりました。
その証左として、
従業員の大量離脱
ぱっとしない株価
に繋がってないかと思うのと同時に、ひょっとしてここのプロダクトは問題ないかなんてまで思ってしまったものでした。
「人がいない」を言い訳にしてIRが申し訳程度になっている気がしてなりません。
技術者の採用は何となく争奪戦になっていたり、ニッチな領域の技能を求めていたりしていたらなんとなく厳しさ感じますが、IR担当者はそれほど採用に関して難しくないのではなんて思うと、お金あるのに諸々ケチっている乃至は潜在的に会社を大きくする気がないのではなんて思ってしまったりしました。本当にやる気あるなら諸々予算着けて動くべきなきがしますが「そこまでして」という考えで止まっているなら、根本から考え直す必要すらある気がしました。
これだけ色々な株主に言われてどう変わっていくかはある意味楽しみですね。
当社は、成長を急がずとも価値創造が可能なビジネスモデルを既に構築できており、逆に性急な成長を求めることは価値毀損にもつながりかねないため、外に出て広くIR活動を行う優先順位は「現段階では」低くて構わないと思いますし、(いずれ必要な局面は訪れるにしても)まだお金をかけるステージには至っていないと私はとらえております。
機関投資家がとても入れるサイズ(時価総額)ではなく、また個人投資家向けに色々やったところで効果が見られないというのが多くの企業の悩みどころという現状がありますので、個人的にはここで無駄打ちはして欲しくはありません。
会社の考えるスピード感と株主のそれとの目線を合わせることはIRの大事な仕事で、そこにはまだまだ改善の余地があると思いますけれども。
会社のビジネスモデルや経営理念等によって求めるべきものは変わってくるので、質問者側も持論をぶつける前に、まず可能な範囲で相手を理解することに努め、敬意を持って質問して欲しいというのが私の考えです。
自分が参加する株主総会にはそのような株主に多く参加していただきたいですし、またそのような株主が集まる企業になって欲しいとも思います。