有価証券報告書のこの指標は地味に使えるかも!?

投資スタンス

このところ、「いけす」を利用しての大型株の分散購入に努めております。

投資先選定にあたり有価証券報告書をチェックしていくわけですが、その中で今までスルーしていたものの、実は地味に使えそうな指標を再発見致しました。


その指標とは、第一部【企業情報】の「提出会社の経営指標等」の中にひっそりと(?)記載されている「株主総利回り」です。

これはTSR(Total Shareholder Return)の日本語訳で、株式投資により得られた収益(配当とキャピタルゲイン)を投資額(株価)で割った比率となります。

[開示布令で規定する計算式]

株主総利回り(%)=(各事業年度末日の株価+当事業年度の4事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)÷ 当事業年度の5事業年度前の末日の株価

金融庁のリンク先末尾に「株主総利回り計算方法」が記載されています)


上表の通り、直近5年間のインカムゲインとキャピタルゲインの合計を、各事業年度末ごとに数値化したものになっていますので、

どの期間を切り取ってみても、長期投資家として報われるかどうか

についての目途をざっくり付けるのに、大変便利だと感じました。
(指標の概念は知っていたものの、並べて見た場合の有用性に気付きませんでした)


また、「配当込みTOPIX」等、比較指標と併記されるのも良いですね。

インデックスを上回るポートフォリオを構築していきたい場合に、どの事業年度で見ても概ね比較指標を上回っているような企業を集めていく、といったような作戦を立てることもできます。

具体例

それでは、2社の実例を見てみましょう。
(いずれも2018年3月期~2022年3月期の5期分です)


【4543】テルモ

いずれも100%を大きく超過し、かつ比較指標を毎期上回っていて、さすがの安定感です。
株価自体はさほど伸びてないのですが、連続増配が効いている形ですね。


【7974】任天堂(※株価は分割前)

結構ダイナミックに株価が動いて心臓に悪いイメージですが、ガマンして5年持ち続ければ報われることを示唆している気もします。


このように目星を付けた企業の「株主総利回り」を見ていくと、良い企業を普通に持ち続ければ案外儲かるものなんだなと勇気付けられます。

同時に、株式投資は自分の心理との戦いでもあると実感できるものがありますね。

2019年3月期以降の有価証券報告書から開示が義務づけられている指標なので、古参の個人投資家ほど見ていないのかもしれません。
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コメント

  1. 伏見の光 より:

    あまり聞かない指標ですが、非常に明快ですね。また有価証券報告書を見る時にチェックしてみます。

    書籍の方、通読させていただきました。以前の連載の時にも読ませてもらっていますが、やはり一冊にまとまっているとよいです。編集的にコラムの入れ方とかはもうちょっと整理されてもよかったかも。
    あと、実際の売買においては行動経済学の知見を理解しておくことが、つまらない売買を抑制するためには役立つことが多いように思います。ちょっとテーマが異なりますが、そのあたりの言及があってもよかったかなと思いました。

    図書館の書籍、現在、5名の方の予約が入っていました。

    • 6_suke より:

      拙著をお読みいただき、ありがとうございます。

      自分の伝えたいメッセージを強く打ち出すことと、枝葉を詰めること、話を広げることのバランスを取ることはなかなか難しいものがありましたが(細かい説明は省きつつ、先に進めた部分は多々あります)、良い経験となりました。

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