(会場のパレスホテル東京からの眺め)
質問の数が多くて4回にわたってしまいましたが、今回で最終回です。
質疑応答(4)
【質問14】
昨年の総会でForge社の件について伺った。
その後、なかなか新しい情報が無かったが、昨年11月に培地の件で発表があった。
昨年の場では、交流が想定以上にうまくいっていて、非常に夢があり、将来的にも展望があるというお話があったと思う。
昨年に続いてで恐縮だが、2年目ということで改めて今後の展望等について伺いたい。
中村社長は味の素初の技術系の社長ということで非常に期待をしている。
ほぼ何も無いところから今の世界シェア97%になるまでABFを育てられた方でもある。
御社が属するバイオ的分野というのは、長期金利を含めて逆風が吹いていて、まだまだこれから育てていく段階の領域だと考えている。
足場固めをしている状況だとは思うが、現段階の手応えを伺いたい。
ABF同様、すぐに結果が出る世界ではなく、10年後、味の素さんがどのように取り組んでいるのか、ワクワクしながら見ていらっしゃるのではないかと勝手に想像しているが、そうした意気込み等あればそれも是非お伺いしたい。
⇒
(中村社長)
温かいお言葉とForgeに関わるご質問ありがとうございます。
5月の決算発表でお示ししたスライド(Ⅰ-11、P.28 <モダリティ別売上高構成比>)が何を示しているのか申し上げると、「低分子」というのは従来の化学合成で作る医薬品、「中分子」というのは核酸医薬のことで我々のオリジナルの技術の「AJIPHASE®」を使った分野、そして「バイオ+遺伝子治療等」はご指摘いただいたForgeを中心とした遺伝子治療の分野。
ご覧いただいて分かるように、2030年には大幅に遺伝子治療を伸ばしていきたいと考えている。
現在の状況は次のページ(P.29)を見ていただきたいが、まずForgeは順調に顧客数も売上も伸ばしている。
(次ページ、P.30の左側を示し)何をしているかと言うと、生産性の向上。
我々はアミノ酸をしっかり持っているので、遺伝子治療のウイルスベクター(必要なタンパクを作るよう設計・製造された遺伝子を体内の標的細胞に導入する際の運び屋のこと)を作る培地を有している。
その培地をしっかりとマッチングさせることで、ウイルスベクターという、一番キーとなるものの生産効率を飛躍的に高める。
これの意味するところは、アセットライトで大きな投資をすることなく、ウイルスベクター、遺伝子治療の薬を作れるということで、川崎の研究所とForgeの技術がシナジーを生んだ事例。
引き続きこうした研究のシナジーを生んでいきたいと考えている。
今も商用化をしたいというお客様が複数おられ、遺伝子治療の商用化に向けて、生産性のスピードを上げていく段階にある。
(P.30の)右に書いてあるのは、対応領域の拡大。
遺伝子治療はまだまだ社会実装が進んでいないが、その実装の領域を増やすということで、下段に小さく書いてあるが、プロジェリア研究財団と製造提携を行う。
プロジェリアというのは、「早老症」という病気。
幼児のうちから老化が始まってしまうという、極めてレアな遺伝子疾患の病気で、これにお悩みの方にしっかりと遺伝子治療を届けるのも非常に大切なWell-beingの貢献ではあるが、「早老症」への対応はアンチエイジングに効く可能性があると言われている。
この薬が見つかった暁には、皆様の老化が止まる薬が出来上がる可能性がある。
(会場、どよめく)
非常に夢があるテーマではないかと思う。
(バイオ&ファインケミカル事業本部長 嵐田執行役常務)
社長からかなり説明があったが(会場笑)、若干補足説明させていただく。
遺伝子治療領域には2023年、2年前から進出していて大きなチャレンジであるが、老化、お年を召した方だけでなく、実はお子様にも大変社会的意義のある領域だと思っている。
全世界に希少疾患のある患者様は3億5千万人ほどいらっしゃり、そのうち8割は全く治療法が無いという状況にある。
その8割が遺伝子疾患にまつわるもので、なんとその半分がお子様であり、3割が5歳までに亡くなってしまうということがある。
遺伝子治療がきちんと発展すると、通常の生活が難しい、多くのお子様の命を救える可能性があるということで、まさに我々の「志」に合致した領域だと考えている。
若干数字の話を申し上げると、Forge社は我々の仲間入りして以降、極めて順調。
昨年度の売上は150億円を超え、買収した2023年度の約3倍に増えている。
さらに顧客パイプライン、つまり見込みの顧客数はこの2年半でほぼ倍増し、60社を超えている。
そのうち商業生産の準備に入ったのが9社ほど。
そして今年度EBITDAベースで黒字の計画であり、2027年以降なるべく早い時期に黒字化を目指す。
2030年度には、2025年度比で売上5倍以上、利益も複数のCDMO事業の中で最大を目指しており、電子材料に次ぐ2本目の成長の柱になるだろうと期待をしているところ。
先月5月からForge社初めての商業生産のトライアルが始まっており、これまで順調に数字を伸ばしてきて大きな一歩を踏み出したところである。
→ 中村社長も嵐田常務もタイプは違えど、熱いハートの持ち主でいらっしゃる印象です。未来に大いに期待を抱かせるような、素晴らしい質疑でした。
【質問15】
民放で2回ほど冷凍食品が採り上げられているのを見たが、冷凍食品のプレゼンが凄すぎて、営業力・提案力に衝撃を受けて株を買った経緯がある。
その後、他社さんとのコラボをされて相乗効果が出ているのを見て感動している。
こういったコラボを進めていかれる予定があるのかお聞きしたい。
⇒
(中村社長)
当社の冷凍食品は「おいしさ設計技術®」に基づいている。
おいしさにしっかりとこだわり、それに栄養価値評価技術、タイムパフォーマンスを上げる技術等、しっかりと付加価値を高めて消費者の皆様にご愛顧いただくことを目的に、おいしさを科学しておいしいものを提供させていただいている。
コラボに関しても、お客様のニーズに合わせ、喜んでいただけるよう、各社とコラボして製品を提供していく方針。
(食品事業本部長 坂倉代表執行役専務)
我々は得意な分野とそうでない分野がはっきりとしている。
お客様のニーズに対応する時に、我々が強みを発揮できる分野と、他社様の力を融合させることでより顧客満足が高まる分野とが存在する。
今までは我々自身で全てをやっていくことが多かったが、昨今、お客様のニーズ・ウォンツはかなり多様化している。
他社様の知見と我々の知見を融合させて、顧客満足をさらに向上させるということを取り組んでまいりたい。
【質問16】
TVのニュースを見ていると、2027年の4月から2年間限定で消費税を1%にするということが規定路線のようである。
もし1%になると可処分所得が増えるので、食品・冷凍食品はかなり売上が増えると思う。
+10%、+20%販売が増えた時に、生産・流通・販売が既存の体制のままだと結構混乱して大変かと思うが、対応できるのかについて教えていただきたい。
⇒
消費税が減税されるとお客様の実質的な購買力が上がっていくので、食品業界、当社の調味料や冷凍食品においても一定のプラス効果があると予想されるが、当社の調味料・冷凍食品には消費者に届けるBtoCのビジネスの他、レストラン・外食等に行っているBtoBのビジネスもある。
BtoBの方は何らかの補助が無い限り、少し内食にシフトする可能性があり、トータルとしてどのくらいのプラスになるかは引き続き注視する必要があるが、当社は常に製造キャパシティに一定の余裕を持つようにしており、需要が増えた場合には応えられるようにしていく。
(ここで時間の関係もあり、残り2名とさせていただく旨の発言あり)
【質問17】
当社の株を買ったのは半導体と関係があるということだったので、ぜひそこのところを教えていただきたい。
⇒
当社の半導体事業に関わる代表は、味の素ビルドアップフィルム(ABF)である。
どこに使われているかというと、半導体チップの下に半導体パッケージ基盤があり、有名なところでは日本のイビデンなどがそれを作っていらっしゃる企業になる。
断面にすると、上と下がABFで、その真ん中にあるのがコア材と呼ばれるガラスクロスと銅箔を使って作られるもの。
コア材をスタートとして、両面にABFがどんどん形成されていく。
現在も(半導体パッケージ基板は)70mm角という結構大きなサイズだが、どんどんパッケージのサイズが大きくなっている。
70から100、100から120、さらには200というお客様もいらっしゃり、ほとんどプリント基盤と変わらないサイズで、しかも層数がどんどん増えていく。
当然求められる機能・配線長が長くなるので、信号のロスを下げる、機械的な強度を上げる等、高性能が求められるが、AI等による半導体の進展に伴い、ABFの需要も高まっていく。
食品のステーブルな成長とともにバイオ・ファインケミカルを伸ばして飛躍的な成長を図っていく。
ファンクションマテリアルズというところで電子材料等として公表しているが、事業利益で546億円、今年は605億円と見込んでいるが、それ以上に達成できるように頑張る。
→ 東海環状自動車道を使える、岐阜県可児市の「可児御嵩インターチェンジ工業団地」(イビデンの工場へのアクセスも良好)に新工場を建てる背景がよく分かりますね。
【質問18】
北米でマーケットシェアのあるスーパーに冷凍食品の供給をする契約をしたという報道を目にしたが、どのくらいのマーケットシェアを押さえているのか、どういう商品群を考えていらっしゃるのかを知りたい。
⇒
北米では味の素フーズノースアメリカという会社が冷凍食品の事業を行っている。
主たるものは、餃子・チャーハン・冷凍のラーメン。
また、買収した会社が持っていたメキシカンも冷凍食品の主力としている。
ご指摘いただいたように、大手スーパーにもラーメンの提供が始まり、我々の提供するおいしさ・安心安全の価値もさらに広がりつつあると考えている。
冷凍食品全体で一番売上が多いのが北米。
様々なご指摘を頂戴しているが、事業基盤は強くなったものの利益の高い事業ではない。
これからもお客様にしっかり価値をお届けする、利益をしっかり出して稼ぐ事業とすべく、北米で推進していきたい。
実際、アジアンの冷凍食品の伸びは全体の市場の伸びよりも高い。
弊社にとっては有利な状況であるので、ジャパンクオリティの餃子・チャーハン・ラーメン、さらに焼売も始めるので、しっかり北米の事業を伸ばしていきたい。
ここで質疑応答は終了。
(11:44)
議案の採択を経て、新たに取締役に選任された下保代表執行役副社長の一礼の後、閉会となりました。
(11:47)
所感
時間管理も含め、総会の運営は総じて良かったと思います。
特に中村社長の堂々とした進行ぶり、脇を固める役員の優秀さが印象に残りました。
質疑応答でも、私が投げかけたものを含め、いくつか有意義な情報を得ることができました。
特にForge社の件は、電子材料に続く次の成長の柱となることを十分予感させるもので大変良かったです。
ただ、質問についてはあえて経営陣との対話で確認する必要のなかった内容のものもそこそこ含まれており、その意味では少しだけ間延びしてしまった感がありました。
評価については迷ったのですが、以上を踏まえ、★5つ寄りの★★★★☆とさせていただきます。
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