セブン&アイ・ホールディングス株主総会2026(2)質疑応答その1(★★★☆☆)

株主総会・説明会

質疑応答(1)

(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)

「お一人一問」の要請あり。

伊藤会長が一旦受け、内容に応じて他の役員にバトンタッチする形でした。

【質問1】
創業家の伊藤会長にお伺いしたい。
役員報酬制度の合計額の引き上げについて異議申し上げたい。
背景としては、カナダのアリマンタシォン・クシュタール社(以下、ACT社)からTOBの提案があり結果として破談になったが、双方の180度違う主張に対して、私としてはどちらかと言えばACT社の言い分が当たっていると判断していることにある。

創業家が途中でMBOを画策し明らかに反対する意思を持った結果、18ドル相当で買収される可能性があったが、自主路線を選択した結果、1,800円台の株価に低迷している。
私のように経済的な損失を被った株主もいっぱいいる中、役員報酬制度の改正そのものはいいが総額を増額することに関しては、企業価値を向上させると言っておきながらそれが全然実現できていない中でいかがなものかと思う。
その点について、意図やどう考えているかについてお聞かせ願いたい。

(→ 初っ端からシビれるご質問です。)


(伊藤会長)
まず報酬のことについて申し上げると、今回の報酬制度の改定については「制度の改定」であって、報酬額がアップするというようなことではない。
総会の議案にも関わることでもあり、そのことをまず明確にさせていただきたい。
私自身の報酬に関して、招集通知や有価証券報告書等に記載されている昨年度の報酬のことについては、私の役職が変わったことにより増額されたということをご理解いただければと思う。
こちらは木村副社長の方から説明させていただく。
ACT社の買収に関しては、経営企画の脇田取締役の方から双方の言い分の違いについて報告させていただく。

(木村副社長)
議長からも話があった通り、今回の報酬改定については単純に増額されるということではない。
あくまでも業績連動をより拡大させたもので、業績が上がれば役員報酬もそれに応じて上がっていくが、ただ業績が上がらない場合については振れ幅としてゼロもあるという設計にしている。
株主様と、業績がいい時にはその成果を、悪い時には痛みを分かち合う形

議案の内容についてもう少し説明させていただく。
とりわけ6号議案・7号議案は非常に報酬が増額されているように受け止められる株主様が多いのではないかと思うが、当社を取り巻く環境は激しく変化しており、企業価値向上へのコミットメントの強化、グローバルな人材市場における競争力強化、これらを図るべく昨年の株主総会でご承認いただき、報酬制度を改定した次第。
今回の6号議案は、金額報酬の部分で業績連動報酬を引き上げたため、上限額を変更しているもの。
7号議案の株式報酬の部分についても、業績連動をより強めた結果、最大200%の振れ幅を全員が受ける設定にしている。
よって、そのことをしっかりと取り入れいかなければいけないこと、そして今後の役員構成の変化や株価の変動も考慮した設計になっている。
加えて、今般、株式報酬の評価期間を単年度から3事業年度に変更したということもあり、今後組織再編などが発生した場合、権利未確定の複数事業年度分を一括で支給する可能性もあることから、最大支給時に必要十分な額を設定する必要があるため、今回の募集額の改定をお願いするものだ。

さまざまな状況を想定した中で役員報酬の改定を行っているもので、あくまでも業績が上がった時に我々の報酬も上がる、つまり株主の皆様と成果を分かち合う設計になっているということを、改めて私の方からもご説明させていただく。

(脇田取締役)
ACT社との協議については、約1年間、我々としては真摯かつ誠実に協議を行ってきた。
その中で最終的に先方が協議を終了したことは不本意ではあるが、市場環境の変化や特に米国の独禁法のハードル等があり、最終的には先方側が断念するという意思決定をしたという認識。
本件の検討プロセスにおいては、当社の株主ならびにその他ステークホルダーの価値の最大化を確実にするために、ACT社からの提案と弊社単独での価値創造の施策とを、全て選択肢として並列的に検討を行ってきた。
結果として先方が協議を断念するという意思決定をされたので、以降は我々の単独プランとして企業価値の最大化に取り組んでいる。
引き続き直近の株価を踏まえ、我々がさらに株主価値の向上・企業価値の向上に向けて取り組みをやっていかなければならないという認識を、我々経営陣としても危機感と合わせて強く保有しているので、引き続きご支援賜りたい。

【質問2】
日経平均が6万5千円を超える中、御社の株価はダダ下がりだ。
役員が変わらず再任されるのはいかがなものか。
危機感を持っていると言うが、では何をやったのか?
株価は御社に対する市場の評価であり、ダメだと烙印を押されている状況。
再任はあり得ないし、亡き鈴木敏文さんの言葉で言うと「情報は外にある」はず。
あなた方は何をしてきたのかを教えていただきたい。


(伊藤会長)
まず株価については、市場のさまざまな環境によって変化する。
私共から短期的な水準について言えることは無いが、中長期的な視点での1株当たりの利益、あるいはトータルな株主還元は重視している。
今の厳しいご質問に関して、どういう形で経営をしていくかということについては、社長のデイカスからお話しさせていただく。

(デイカス社長)
確かに株価を見ていて、大変忸怩たる思いがある
イラン戦争前の株価水準は、あと少しで2,400円という水準だったが、今は1,800円を少し上回る程度ということで、この数か月で大きく落ち込んでいる。

そして世界中の小売業が似たような影響を被っているように思う。
その背景として、原油価格が乱高下し、そして大変高い水準のまま推移しているということが、消費者の行動に影響を与えている。
そしてこれから先、その消費者行動がどうなっていくかについて投資家からの懸念が高まっている。
日本のみならず、世界中の消費者の行動に対する投資家の懸念が株価に表れているのだ思う。

私たちはその中で、従来も申し上げてきたことではあるが、世界中のお客様に対して、いかにより良い品質を、いかにバリューを提供するか、そこに力を入れることになる。
消費者は全般的にインフレ・原油高で痛みを感じており、可処分所得が減っている傾向にある。
その中で私たちとして、できるだけさまざまな形でバリューを提供する、そのための方法を模索し、お客様・消費者をサポートする施策を進めていきたいと考えている。

大変難しい局面を迎えている中、お客様にできる限りのサポートをしていく必要があると思っている。
いかに質の高いバリューを出していくか、そのことによりお客様のブランドに対する長期的なロイヤリティーを得ていくことができればと思う。
この危機がいつ終わるかはわからないが、終わった時には、これから先に私たちのブランド価値を押し上げていく基盤となる、お客様のロイヤリティーがしっかりと獲得できていると考える。

この危機がいつまで続くのか、石油価格がいつまでどこまで高くなっていくか、この状況が終わるのが明日なのか来年もまだ続いているのかは私たちには見えない。
ただ私たちが分かっているのは、今日できることを力いっぱい続けていくということ。
それがお客様にバリューを、質を提供し続けていくことになる。

(伊藤会長)
私たちは短期の株価も注視しているが、より中長期的な株価の向上、企業価値の向上を目指していくので、ご理解ご協力のほどお願いしたい。

→ 日立製作所の時も感じたのですが、不平不満をぶつけてくる株主に対しては、外国人の役員から原則論を述べるスタイルで対応するのが一つのセオリーなのかもしれませんね。

【質問3】
企業価値の向上について、今回取締役に就かれる方、できれば多くの方のご意見を伺いたい。
個人的な感想として、最近セブンで絶対的な商品・ヒットになっている商品が無い。
(会場より拍手)
最後にいいと思ったのが「金の」商品で、あれは適正な価格でいいものを出していただけたと思っている。
かつて当社は大変な勢いで他のコンビニを蹴散らせてきたが、いろんな業態がミニスーパーを出すようになってきている。
取締役の皆様が個々に街に出歩く必要はないとは思うが、今日説明いただいた中では、現場、例えば店や商品開発がどのようにして良くなるかについては具体的な言及が無かった。
各所へのアンテナをぜひ高めていただきたいが、取締役の皆様からどのように取り組むのかについてぜひご意見をお聞かせ願いたい。


(セブン-イレブン・ジャパン 阿久津社長)
セブンイレブンの商品力について、課題があるのではないかというご質問と受け止めた。
商品はやはり我々の力の源泉であり、培ってきた質とその商品力によってお客様が来ていただいているのであり、最重要課題と捉えている。
近年はその商品を作る際に、やや顧客視点に立ち切れていないところ、そして新しさに欠けているところがあったように私自身も思う。

今、本社本部内にも新たな商品を生み出すべく、組織の改変とプロセスの変革を行っているところ。
まずは、お客様ニーズについて、内向きではなく外のニーズをしっかりと読み解いて商品開発することを目指している。
今年の春から、商品戦略部というものを商品部内に立ち上げた。
これは、今までの流れにとらわれずに外にあるお客様のニーズを読み解きながら、商品を部門横断で提案する部門の立ち上げになる。
また、外部からの専門家の視点も取り入れるべく、「マーケセブン」と名付けているが、外部のマーケターの皆様からの知見も取り入れながら、現在、商品の刷新を図っているところ。
今までは「役員試食」で最終的な商品発売の決裁を取るようなプロセスがあったが、そうではなく、あくまでもお客様の視点で、今のお客様が求める商品の開発に努めているところ。

もう1つは、やはり新しい商品を生み出していくには、商品のサプライチェーン全体の改革が必要だと考えている。
NDF(日本デリカフーズ協同組合)というデイリー商品を作っていく組織が今まであったわけだが、ここにはやや我々の力が十分に及んでいなかったところがあると思っている。
サプライチェーン改革については、さまざまなサプライヤーの皆様と協働しながら、新たな仕組みを作るべく、今改革を行っているところ。

直近においても、新しい商品・焼きたての商品として「カリッじゅワッサン」も非常に人気になっているし、またIPコンテンツ等を活用した今までに無い商品も生まれてきているので、「なにがあるかな、セブン-イレブン。」ということで、これからのセブンイレブンの商品開発にぜひご期待いただきたい。

(商品開発担当 北村執行役員)
先ほどデイカス社長からも話のあった、いかにバリューを提供しブランド価値を上げていくかについては、当社国内グループの「セブンプレミアム」が非常に重要だと認識している。
まず株主の皆様にご安心いただきたいのは、25年9月に組織形態が変わり、先ほどはミニスーパーの話もあったが、我々、食の協業は引き続き行っている。
この中で上質な商品、美味しい商品、ここは大切にしながら、今後経済環境が厳しい中、値ごろ感のあるセブンプレミアムとしての低価格ブランド「セブン・ザ・プライス」を中心に、お客様に経済性の価値、そして上質な価値を提供し続けてまいりたい。
今後も国内グループが連携し、新しい商品、そして値ごろ感のある商品の開発を続けていくので、ぜひご支援をいただきたい。

(伊藤会長)
セブン-イレブン・ジャパンにおいては、組織改革等も含め大幅に見直しを図っているということ、そしてセブンプレミアムをはじめとしたグループ商品についても、非連結化はしたもののイトーヨーカドー、ヨークベニマルといったスーパーマーケットセグメントとも協調して開発を推進していくことをご理解いただければと思う。


→ 各役員から商品開発に関する危機感は十分伝わってきました。

【質問4】
今までの歴史の中で一番高い利益を出したという話があったが、営業利益やキャッシュフローは全然芳しくないし、売上も苦戦している。
なおかつ、純利益が上がっているのは特別利益の兼ね合いもあり、EPSが上がっているのも株式のbuy-backがあったのもある。
今は改革の途上でマクロ環境、特に日本の人口動態からして大変な時期にあるのは分かるが、逆に苦戦しているということをもう少し正直にディスクローズなさった方が、株主からの賛同を得やすいのではないか?
各種資料の数字はきちんと出されていると思うので、もう少しディスクロージャーのほうを向上していただいた方が皆様も納得いくのではないかと思う。

(伊藤会長より「簡潔にお願いします」とのお言葉あり)

ブランドに関することだが、御社は売上でリーダーシップを取ろうとしているが、環境への配慮については全然リーダーシップを果たしていない。
デリバリーのトラックのアイドリングが非常に目立つし、ボランティアでプラスチックのゴミを拾っているのだが、一番多いのがセブンイレブンさんのプラスチックのゴミ。
ファミリーマートさんはコーヒーカップの蓋を紙に変更されているし、他社さんの方がリーダーシップを発揮されているので、そこは反省いただきたい。


(伊藤会長)
株価については先ほどのご質問の際に述べている通りだが、業績を改善し、それによって株主還元、1株あたり利益を上げていくことに努めている。
株式の買い戻しについても、株主還元の一環としてやっているのでご理解いただければと思う。

環境については「グリーンチャレンジ2050」という目標を掲げ、2030年、2050年に向けて、Co2の排出量の削減、プラスチックの削減、あるいはフードロスの削減等について積極的な目標を掲げてやっている。
弊社のホームページ等で、活動はきちんとやっているということを報告している。
これについてはぜひご理解いただきたい。

今の株主様からのご指摘で、一番私共がまずかったのは、やはりコミュニケーションの面だと思う
株価のことに関しても、業績がちゃんとしているのに株価が上がらないということ、環境についても色々な取り組みをしているのに、それが感じられていないということが問題だと思うので、これについては、事業会社セブン-イレブン・ジャパンとともに、きちんと考えて検討してまいりたい。

【質問5】
セブンイレブンのオーナーの立場で来させていただいている。
阿久津社長が色々と改革した商品がお店にとってもプラスにはなっているが、実際問題としてお店の財政はきつくなっている。
こういう時期なので、売上は上がらない、人件費は上がる、物価も上がる、客単価は下がる、お客様は来ない、ドラッグストアや大きいスーパーもどんどんできる…
今、2030年までに1,000店舗増というのが、正直オーナー仲間の間ではできるのかな、やっていいのかなという話になっている。
まずオーナーの今の状態を良くしていただきたい。
オーナーが良くなれば、本部も良くなる、最終的には株主様も良くなる、そういったことができるのではないかと思う。
本当にそういうことを真面目に考えていらっしゃるのか?
今いろいろやっているみたいだが、オーナーサイドからすると綺麗事でしかない、本部さんのやっていることは。
もう一回、その辺を考えていただければと思う。

(→ 株主総会はオーナーさんからの切実な訴えも聞ける、貴重な場でもありますね。)

(セブン-イレブン・ジャパン 阿久津社長)
地方のセブンイレブンの店舗についてのご質問と承った。
まずは出店についてだが、仰る通り、2030年までに+1,000店という目標を持って出店政策に取り組んでいる。
ただ、やはりこの出店については今までと同じようにはいかないと思っており、とりわけ人口動態やマーケットの状況を鑑みて出店をしていく必要があると考える。

今、全国を3つのエリアに分けて位置づけている。
1つは、既存の出店モデルを拡大していくべきエリアで、特に人口が増えていたりするエリアについてはこれに当たる。
一方で人口減少であったり、マーケットのシュリンクが見られるエリアについては、既存店の活性化を中心に組み立ていくべきエリアとしている。
また、この2つのモデルの中間に位置するエリアもあると考えており、それぞれのエリアの実情に合わせて出店の促進を図っていく。

地域として、やはり過疎になってきているエリア等もある。
このエリアに即したモデルができないかということで、昨年11月に福岡県八女市で地方共創モデルという出店の形態を開発している。
これは通常店舗の半分の店舗で出店コストを抑え、一方で店舗へのデイリー商品の配送も3回ではなく2回にする、営業時間についても24時間やらず16時間にする、こういった形でランニングコストを抑えた出店の形態をスタートしており順調に立ち上がっている。
このモデルを元に、さまざまな自治体の方から我がエリアでもというお誘いいただいており、地域での出店のモデルも作り上げながら純増+1,000店を達成していきたいと考えている。

また現状の店舗の運営についても、今、やはり地域に合わせたオペレーション、商品開発が必要になってきている時期だと思っている。
地域における、地方における商品開発を後押しすべく、地区MD統括部の方で人員を増強したり、また地域でのビジネスモデルを作り上げるべく、北海道プロジェクトというものを走らせている。
全国一律のワンフォーマットではなく、地域に即したビジネスモデルを作るということにもチャレンジしており、地方分権やさまざまな現場への権限委譲を進めながら、これらのモデルについても作り上げていきたい。
現状、加盟店での実態を十分に確認をしながら、オーナーの皆様にもご満足いただけるモデルとなるよう今後とも努力していく。

(伊藤会長)
セブン-イレブン・ジャパンについても、昨年5月から阿久津社長の体制に変わり、先ほどのマーケティングのことも含めてさまざまなコミュニケーションをしている。
株主様におかれては、もう少し長い目で見ていただければと思う。

(続く)

株価・商品・加盟店…多方面でなかなか厳しい質問が続きますね。普段からのコミュニケーションが大事だと、改めて感じました。
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