【7683】ダブルエー 2022/1期決算発表を受けて(3)

銘柄研究

これまでの振り返り

前回までで、売上総利益率が回復していくイメージについてお話をしました。

まとめますと、以下の通りです。

  1. 前期4Qの売上総利益率の急低下は、季節品の在庫消化に重点を置いた結果による一時的なもの

  2. エネルギー価格上昇・円安に伴う原価上昇は、商品入れ替えとともに販売価格へ段階的に転嫁可能。
    売上総利益率は時間差で回復していく

  3. 年間での売上総利益率は、2022/1期(実績64.4%)と同等か、若干下回る計画。


1について補足しておきますと、これはオミクロン株による12月下旬以降の感染急拡大を受け、端的に言えばブーツの売り切りを徹底したということです。

秋冬のブーツは前年の倍以上を企画し、ロングブーツも8型を扱うなどかなり力を入れていました。
実際に11月・12月の売れ行きも好調であったため追加生産もかけていたところ、感染急拡大により来店客数に急ブレーキがかかる事態に。
(好調であったがゆえの追加生産が裏目に出てしまったということですね)

ブーツを1年間寝かしておくわけにもいかないので、大幅値引きをしてでも売り切ることを優先した機動的な対応を実施。
それが1月の怒涛のセールの背景ということです。

結果、売上総利益率は犠牲になったものの、売上高は通期下方修正にならない程度に収めることができ、期末在庫も抑制できた形に落ち着きました。

変に小手先で利益率を維持させることを優先して在庫を滞留させてしまうより、よほど賢明な判断であったと思います。

広告宣伝費について

さて、今期は通期で見れば売上総利益率はさほど落ちないことが分かりました。
ではなぜ以下の通り、営業減益の予想を出しているのでしょうか。

それは販管費が増えることに他ならないわけですが、商品の輸送コスト上昇もあるにせよ、やはりTVCM実施等による広告宣伝費の上積みが大きいようです。

以下は、より突っ込んで確認させていただいた内容です。

  1. 広告宣伝費に関しては、通常の期よりかなり多くかけている

  2. この投資は中長期的な成長を見据えたもので、単年度で回収できるとは考えていない(ココ大事!)。

  3. 今期のような広告宣伝費のかけ方は、来期以降は予定していない


2について補足しておきます。

今流れているCMは ORiental TRaffic「跳べるパンプス」とORTR「スニーカー」になりますが、それぞれの商品にはダブルエーとしての新たな方向性が反映されています。


前者については、「機能性」「履き心地」のアピールです。

それまでの ORiental TRaffic は、さまざまなシーンに応じた履き回しが気軽にできる「値頃感」が優先され(→商売としては、高回転につながる)、どちらかと言えば「機能性」「履き心地」はあえてアピールしてきませんでした。

しかし「跳べるパンプス」の売れ行きを踏まえ、機能性を重視した新たな定番商品として認知度を高め、じっくりと売っていきたい意向が見てとれます。


後者については、今後も市場の拡大が見込まれるスニーカー市場において、新たなブランド「ORTR」を広く認知させ、今後の柱の一つとして育てていく狙いがあります。

コロナ禍で当社主力のパンプスを履くようなフォーマルな機会が減っている中で、子供から中高年齢層まで幅広い年齢層に訴求できるアイテムとしてのスニーカーに注力していく方向性は、極めて妥当だと感じます。

考えてみれば、レディス専門で際立ったスニーカーブランドって、ちょっと思い当たりません。

有名ブランドは老若男女問わずボリュームを取っていきたいので、デザインであまり冒険はしない傾向があるかと思います。
女性受けするデザインで定評を得られれば、なかなかユニークな存在として化ける可能性はあるのではないでしょうか。
(その後、長期的なチャレンジとしては男性向けもあり得ます)

これから長く愛されるべく育てていくブランドであり、初めから値段を崩したくないという意味合いからも、目先は負担になってもまずはブランド構築の方に力を入れ、思い切ってお金をかけるのは理解できます。

この春でアイテム数を充実させたタイミングでのCMでしたが、オンラインストアを見る限り、さまざまなスニーカー、サイズで「一部予約」「~入荷予定」の文字が躍っていましたので、まずは順調な立ち上がりなのかなという印象です。


なお、今回TVCMも打つのは、創業20周年を節目に、社員・スタッフに新たなモチベーションを与える意味合いもあるそうです。
ご覧になったご家族の方も、きっと喜ぶことでしょうね。
企業として長く繁栄を続けていくために、このような目配りはとても大事だと思います。


このように売上総利益率、広告宣伝費について丁寧に見ていくことで、今期の減益予想をどうとらえるべきか、さらには以後の業績をどう予想すべきかについて、だいぶ道筋がついてきたのではないでしょうか。

(続く)

次回で最後まとめます。
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コメント

  1. カノヒ より:

    いつも参考にさせてもらっています。

    CM見たのですが飛べるパンプスは良かったけど、ORTRの方はスニーカーのデザインがダサく感じました。名前も覚えにくいし
    唯一良かったのは横田まゆちゃんを起用したのはセンスいいと思いました

    なのでスニーカーの売れ行きに期待はせず、パンプスと中国市場の売れ行きが気になりました

    • 6_suke 6_suke より:

      いつもありがとうございます。

      コーディネートの中で、スニーカーのボリューム感であえて「外し」を演出する(「ダサかっこいい」「ダサかわいい」)という面も往々にしてあったりするので(そのトレンドを意識しているようには感じます)、ファッションは奥深いですね。

      さまざまな方向に先を見据えて手が打てる旺盛なチャレンジ精神と、臨機応変に軌道修正できる柔軟性がこちらの魅力の一つかと思っています。パンプスが売れにくい世の中であるのは確かで、そこを乗り越えるための機能性を前面に出した商品とスニーカー拡販なのだととらえています。

      中国は「ゼロコロナ」にこだわっている間はなかなか伸びないでしょうね。
      往来が活発になれば状況は一変するという見立てをしております(そのうち記事で書くつもりです)。

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