【3835】eBASE 今こそ再評価したいサステナブル経営(2)~その価値を誰が評価するか

銘柄研究

「eBASEグループのサステナビリティ(ESG/SDGs)への取組について公開しました(/)」のプレスリリースに関して、事業活動・企業理念との同期化について述べてきました。

今回は、日本語と英語の両方で同時にリリースしたことについて、その背景を探っていきます。

実は大きい海外機関投資家の存在

IRリリース(決算および事業報告)を英語でも配信するようになったのは、2021年5月14日の本決算発表時からです。

中長期の安定した株価形成を目的として、海外機関投資家に向けて目に見える形でアピールを開始したのが、このタイミングと認識しています。


そして今回のプレスリリースでは、「日本語と英語にて公開しました」と書かれています。

何気ないフレーズですが、これは一つの大きなメッセージであると私は受け止めました。

海外機関投資家の理解度

eBASEのビジネスモデルは、日本特有の問屋制度・流通の多段階性・複雑な商慣習があって、その存在価値を高めている部分が大きいと思っております。

実はつい最近まで、海外機関投資家にこういった日本固有の商慣習を理解してもらうのは、なかなか厳しいのではないかという懸念を私は持っておりました。

この点を確認させていただいたところ、以下のような回答が得られました(内容は端折っています)。

  1. ミーティングを通じて体感しているところでは、国内機関投資家よりも海外機関投資家の方が、理解が深く意思決定も速い

    … 実際、これまで機関投資家で大量保有報告が出ているのは、「米フィデリティ証券(当時5%)」や「米カバウター・マネージメント(当時5.02%)」のみ。英語のみのコミュニケーションで即決いただいたとのことでした。

  2. 海外機関投資家の担当の方々は、主にグローバルな情報処理セクターを担当されているエキスパートでもあり、各国のローカルビジネス環境の理解度やITビジネスに対しての深い知見を持ち、シンプルに理解して頂けているように感じる。

    … デファクトを志向するオンリーワンのビジネスモデルであり、ブルーオーシャンで事を進めていることに理解があるとのことでした。ビジネスのネットワーク外部性、スイッチングコストの高さ、プラットフォーマーとしての素養といった点についても評価されているものと推察します。

  3. 年間のIRミーティングの数は、対海外機関投資家のものが対国内機関投資家のものを上回っている。

  4. 今回の「サステナビリティ(ESG/SDGs)」に関するプレスリリースに対しても、国内機関投資家からの反応はほぼ無い状況(海外機関投資家には必須のものとして、詳細に回答することが求められるのとは対照的)。

私の想像とは全く逆でした。

一つ明らかに感じたのは、中長期目線でマクロ視点で評価いただけると当社が感じており、時間軸の合う海外機関投資家を、IRのメインターゲットとして考えつつあるということです。

評価が高まらない真因の推察

本来、商習慣や国内市場の状況(イオンや生協をはじめ、各業界の小売の大所をがっちり押さえている等)を容易に把握できるはずの国内機関投資家の関心が薄い、もしくはミクロ視点に留まっているというのは、ちょっと暗澹たる気持ちにさせられます。

デファクト化を水面下で進める上で、当社としては情報開示できることに制約があるという事情が、かつてあったにしても。

その結果、国内株式市場においては、短期的な評価しか受けられない状況に陥ってしまっているというわけですね。


ここで、私がふと頭に浮かんだことがあります。

それは、事業領域が比較的近い【2492】インフォマート と、なぜ指標面で大きな差が出ているのかという点です。
(同社のPERは現在500倍台! 観察していた限り、これまでもPERは恒常的に当社を上回っておりました)

これに対する私の仮説は、「外国」株主の保有割合(四季報ベース)の違いです。

インフォマートは50.4%に達しているのに対し、当社は9.3%。

合理的な評価のできる株主が不足しているということが、実態としてあるのではないかと。


そう考えれば、自ずと海外機関投資家へのIRに、より注力する方向へと進んでいくのは合点がいきます。

時間軸の大切さ

成長を「坂」に例えると

企業の成長を「坂」に例えた場合、その評価を「傾斜」とするか「長さ」とするかで、投資スタンスは変わってくると思っています。


「坂の傾斜」というのは、目先の成長スピードや勢い。

「坂の長さ」というのは、成長の持続性。


当社に関して言えば、これまで述べてきた企業のあり方・ビジネスモデルからしても、間違いなく「坂の長さ」、すなわち「サステナブルな成長」という視点から評価すべき企業でしょう。

たとえ今、見えている坂が緩やかであったとしても、見るべきところはそこではないと思います。

「サステナブル」な成長を「楽しむ」ことができるか

その意味では、(今期単年度の・・・・・利益予想に対する)「PER約40倍は割高」と見る「傾斜」重視の投資家や、短期のリバを期待して信用買いをしているような投資家に対して思うのは、時間軸が全く合っていないのではないかということです。

このような方々が当社に投資を続けていても、これまでの当社の事業の進め方からして、すぐに期待するような成果を得られることはないでしょうから、仕切り直しをしてもらった方がお互いのために良いと思っています。

仮にそのために株価が下がったとしても、ミスマッチを正すプロセスとして私は受け容れられます。

やはり当社と「同じ船に乗る」のは、「サステナブル」な成長を永く「楽しむ」余裕が無いと、なかなか難しいのではないかとも考えております。

株主構成の再構築に期待

そして、これは絶対に当社側から出ることはないですが、IRの諸々の姿勢からして、当社も上記に近い感覚を持っているのではないかと感じるところもあります。

その意味で、短期的な、いわゆる「株価対策」には全く期待できないでしょう。

極端に言えば、業容比過大に見える現預金・有価証券の類は、来るべき資本業務提携・M&A等のためにプールしているのだと理解してもらえない株主なら、離れてもらってもいいとすら考えているかもしれません。


一方で、企業としての営みに共感できる投資家に向けては、静かに淡々と、しかし前進感はあるメッセージを発し続ける ——

そうすることで、海外機関投資家を軸とした株主構成の再構築を徐々に進めていこうとしている気がしてなりません。

今回の来春に先駆けた「サステナビリティ」のアピールも、その一環ではないかと。

遠回りのように見えて、実はこういった手順を踏むことこそが、当社の本源的価値が適切に評価されるための近道なのではないでしょうか。


いずれにせよ、私としては当社と時間軸を合わせられるようにコミュニケーションを重ね、知識と考察のアップデートを図りながら、これまでと変らず同じ船に乗り続けるつもりでおります。

(終わり)

なお、直近のプレスリリース等からは中期的には坂の傾斜が上がる方向性は見えつつあります。この件についてはまた別の機会にでも。
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コメント

  1. なりさん より:

    私の気づかなかった所を深掘りされ、それを公表していただけるのはとても参考になります。
    いい悪いは別にして、もうろくすけさんが会社側の立場(当社という表現)で話を展開されているのは会社の私設IR部みたいになっているのは凄いなぁと思いました。私は会社の方もろくすけさんの方も応援させていただけたらと勝手に思ってます。

    • 6_suke 6_suke より:

      「この会社」という意味合いで「当社」と表現したつもりでしたが、確かに自分の会社みたいになっていますね(笑)

      こちらこそ、いつもありがとうございます。

      • なりさん より:

        ここまでしっかり会社のことを分析され、それを発表されていれば、そこそこ株式も所有されていることも感じられますので、ろくすけさんなら「当社」とか言っても問題ないと私は思います。
        逆のパターンが株主総会で散見される「御社」という言葉ですね。株主総会は一応そこの会社の株主(出資者)が集まるところなので、そこの株主が会社関係者外の人が使うような「御社」に私は違和感感じてます。総会時点では株を手放された方かもしれませんが、どうなんでしょうかね?

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