次善の策としてのFIRE(2)

リタイア生活

前回ご紹介したように、古代ローマ帝国の思想家・セネカは、「時間の無駄遣いをしていること」「人生を他人に、それも大勢にくれてやっていること」について自覚を促しました。

現代においては、その解決策となり得るFIREが俄然注目を集める状況となっています。


ただ、それを実現したところで、時間を有意義に使えるようになるかと言えば、そう簡単ではないと実感しています。

「自由の身になったらやってみたいこと」を事前にたくさんリストアップしていたとしても、日常をそれらで埋め尽くすのは容易ではありません。


「やりたいと思えば、いつでもできる」という状況がある場合でも、それを「今やりたい!」というテンションには持っていきづらいもの。

よく言われるように、東京都民がいつでも登れる東京タワーには、なかなか足を運ばないようなものです。

(私自身について言えば、趣味の旅行も月2回までで十分だと感じています。)


もっと若くて体力・気力が充実していれば、違ったのかもしれません。

でも歳を重ねるにつれ、いずれ「やってみたいこと」のフルコースに「胃もたれ」するような状況が来ることは、頭に入れておいた方がいいと思います。


「職業の道楽化」による最大幸福。

では、時間を有意義に使うにはどうしたらいいか。

私の体験によれば前にもしばしば述べたように、人生の最大幸福は職業の道楽化にある

富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない。

(中略)

すべての人が、おのおのその職業、その仕事に、全身全力を打ち込んでかかり、日々のつとめが面白くてたまらぬというところまでくれば、それが立派な職業の道楽化である。

本多静六『私の財産告白』


アーリーリタイアから2年経過したところで、本多静六先生の仰る通りだなと実感しています。

平日の半分を占める、職業に従事している時間を充実させることがまず第一です。

社会に貢献している実感を得、かつそれを楽しみながら日々過ごすことで、それ以外の限られた時間も輝いてくるのだと思います。


その域に到達できれば、まさに「最大幸福」なのですが、一方でそれはあくまで理想だという側面もあります。

私も残念ながら、最後の方は職業が道楽と感じられなくなってきたので、この道を選んだわけです。

いわば、FIREは次善の策ということですね。


「職業の道楽化」を目指してみる。

では「職業の道楽化」を目指すには、どうしたら良いか。


まずは自分自身と向き合うことだと思います。

自分の職業が自分に合っているか、自分の強みは何か、それらを見極めるということです。


実際のところ、多少の苦しみを経つつ努力しながら働いてみないと、見えてこないものもあります。

私も他人(同僚やお客さま)から言われて、初めて自分の適性・強みに気付くといったことが多々ありました。

意外と自分だけでは自分が見えていなかったりするものです。


そうして自分を探す旅を通じて、働く中で自分の居心地のいい場所を見つけていく努力が大事です。

「FIREについて検討するのは、そんな居心地のいい場所が見つけられなくなってからでいい」というのが、私の考えになります。

ひたすらFIREばかりを意識して突っ走っていては、「最大幸福」を実現できる場所を見逃してしまうおそれがあると思っています。

だとしたら、とてももったいないことですよね。


コツコツ資産形成も大事。

「職業の道楽化」を目指すのと並行して、資産形成をコツコツ進めていくことも大事です。

それは「老後に備えて」というだけでなく、「職業の道楽化」を図る上でも効果的です。


本多静六先生もこう仰っています。

経済的な自立が強固になるについれ、勤務のほうにもますます励みがつき、学問と教育の職業を道楽化して、いよいよ面白く、人一倍に働いたものである。

同上


「経済的には、いつでも辞められる」という状態は心の支えとなり、嫌なことに渋々つきあわなくてもよくなりますし、仕事ぶりに余裕も出てきますよね。

私の場合は、会社を取り巻く環境の悪化と私の実力不足で本当に辞めることにしてしまいましたが、まあそういう選択肢が取ることができたのも、コツコツと資産形成をしてきたお陰かなと思っています。


ということで、自分と向き合い、資産形成もコツコツと行いながら、まずは「職業の道楽化」を目指していくべきというのが、今回の結論であり、私からの若い人に向けてのアドバイスです。

職業の道楽化は道半ばで終わりましたが、代わりに道化の職業化を目指してみようと思います。
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