【7683】ダブルエー 不屈のシンデレラ(3)~作り込まれたオペレーション

銘柄研究

当社のオペレーションを観察していて思うのは、非常に小売業の基本に忠実な仕組みを作り上げているということです。

「高い販売効率」と「適切な在庫管理」の二つの側面から、当社のオペレーション上の強みを整理したいと思います。

高い販売効率:高粗利益率×高商品回転率。

小売業の世界では、交叉比率=粗利益率×商品回転率(売価基準)とか、GMROI=粗利益率×商品回転率(原価基準)といった指標があります。

要するに、「儲かる商品(=高粗利益率)を、いかにたくさん売るか(=高商品回転率)」が肝心ということですね。

貴重な「経営資源としての商品」をいかに効率的に回せるかで、生み出されるキャッシュには大きな違いが出、企業としての拡大スピードが変わってきます

特に多店舗展開を図ろうとする企業は、ROI(投資収益率)的な観点で企業を分析することが欠かせません。

このポイントに沿って、当社の強みを整理していきます。

高粗利益率

適切な価格設定

・「いくらなら買っていただけるか」という顧客目線で売価を設定(ギリギリの線を攻めている?)。

・セール時においても、(利幅は個々でメリハリがあるものの)商品ミックスによりしっかり利益を確保できるような売価設定。

… 当社の場合、セールは「損切り」の手段ではない。セールが続く4Qに最も儲かる体質(これは当社のユニークな点。クオーターごとの粗利益率の変動も小)。

原価低減

・SPAとして、卸介在による中間マージンをカット。

中国協力工場(7ヶ所)の生産ラインを年間で押さえ、部材を大量仕入させることで材料費を抑制し、定番品を利用して生産の平準化を図ることでコストを低減。

・大量生産の利く定番品とトレンド品を組み合わせ、低コスト生産と店頭の鮮度維持を両立。

高回転率

リピート獲得策

幅広いサイズ展開(特に足のサイズの大きな方、小さな方にとっては救世主的存在)。

・店舗でのヒール先端部分(トップリフト)の無料修理対応

・店舗での下取りによるクーポン発行。
 → 下駄箱に空きスペースを作る

トレンド品の継続的な投入

・全社レベルでは毎週10型程度のコンスタントな新作投入(シーズンで100型程度)。「またすぐに行きたくなる」店づくり。

← 企画担当者が販売・商品企画・生産品質管理をワンストップで担当販売員として毎週末店頭に立ち、トレンド・売場をチェック。

シーズン終了後の在庫消化

・アウトレット店・ECで翌年も販売。
 → 各店でサイズ欠けした商品を集約し、売りやすくする。

適切な在庫管理:需要予測の呪縛からの解放。

売れ残るリスクを抱えてまで在庫を持つべきか

それとも

売り逃すリスクがあっても在庫を減らすべきか

販売機会損失の抑制をとるか、在庫抑制をとるか。

これは小売業の持つジレンマであり、永遠の課題であります。


商品が品切れを起こすのは人気があることの証なので、何よりそういった商品の品切れを起こさない仕組みが必要です。

そのために、普通は一所懸命に需要予測をしようとします。

ただし、その需要予測に基づき、品切れを回避しようとしてたくさん商品を抱えてしまうと、効率は落ち、キャッシュ面の負担は増え、成長の足かせとなってしまいます。

また「あれもこれも欠品させてはならない」と考えてしまうと、注意が分散してしまうがゆえに、下手をすると品切れを起こしてはならない商品ですら欠品を招いてしまいかねません。


では、どうしたらよいか。

「本当に必要な商品は、次に商品が補充されるまでに売れる分だけでいい」

というのが答えです。

求められるのは、少量かつ高頻度で、発注・生産ができる体制 です。

それによって、需要予測の呪縛から逃れることができ、サプライチェーン全体で在庫を減らすことができます。

次はこのポイントに沿って、当社の強みを整理していきます。

販売機会損失の抑制

短い発注リードタイム・供給リードタイム

・当日15時までに売れた商品は、翌日朝に補充(日次管理)。

・本社ディストリビューターによる、倉庫及び店舗間の日々の在庫調整。

工場との情報共有、トレンド品の迅速な追加生産

・(品番・カラー別)売上・在庫情報を、中国協力工場と週次で共有。

・中国協力工場の生産ラインを年間で押さえていることで、定番品の安定的な生産が可能となるとともに(コロナ禍でもその威力を発揮)、トレンド品の迅速・少量の追加生産、シーズン内での再生産による高回転が可能に。

→ 売るべき商品を、最適なタイミングで店頭に並べる仕組み

在庫抑制

店頭・ECの在庫一体管理、オムニチャネルの活用

・1店舗あたりの展開型数は、トレンド品を交えた商品ミックスを図りつつ、80~120に抑制(各型平均で3.5色を用意)。

 → ECを含めたチェーン全体で在庫を保有・活用する意識。

・店頭在庫がない商品はEC在庫から引当し、自宅に商品を送るサービスを展開。
(この規模でオムニチャネルを構築しているのは素晴らしいと思います)

トレンド品の初期需要予測

新作のWEB先行予約により、トレンド品の需要を確認し、工場の初期生産キャパシティ確保に活用。

まとめ

こうしてチェックして改めて思うのは、当社のオペレーションは驚くほど教科書通りで、非常に論理的な点です。

そして打ち手が有機的なつながりを持って構成されており、「これは儲かるし、成長して当然だ」と思わせるものがありますね。

その中でも特に赤線を引いた箇所は、当社ならではの特徴がよく表れています。

次回は、新しい発想を生み出す、当社独特の企業文化について触れてみたいと思います。

(続く)

これまで色々なことを聞いてきました。たぶんIRの方には、私がブログを書いていることはバレバレでしょうね(笑)
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コメント

  1. nio より:

    いつも拝読させていただいております。
    大変詳しい分析で、参考になります、ありがとうごいます。
    中の具体的な数字については、IR担当者に聞いておられたのですね。

    • 6_suke 6_suke より:

      こちらこそいつもありがとうございます。

      お役に立てたようで何よりです。

      IR担当の方からは、納得のいくまで根掘り葉掘り聞いております(笑)

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