楠木建・杉浦泰『逆・タイムマシン経営論』を読む。

読書

われわれが歴史から学ぶべきなのは、人々が歴史から学ばないという事実だ

ウォーレン・バフェット


おなじみ楠木建教授と、社史研究家 杉浦泰さんの共著です。

「AI」「DX」「サブスクリプション」- 旬の言説は必ずと言っていいほど、その時代のステレオタイプ的なものの見方に侵されているもので、情報の受け手の思考や判断にもバイアスをかけ、しばしば仕事における意思決定を狂わせていまいます。

この「同時代性の罠」がこの本のテーマであり、以下の3つのタイプのものに光を当てています。

  1. 飛び道具トラップ
    目を惹く経営トレンドや注目のビジネスモデルなど、同時代の人々は「これからはこれだ!」とばかりに飛び道具めいた言説に飛びつきがち。

  2. 激動期トラップ
    同時代の人々は、時代の変化を過剰にとらえ、「今こそ激動期!」という思い込みにとらわれがち。

  3. 遠近歪曲トラップ
    時間的・空間的に遠い事象を過剰に美化しがち。
    「遠いものほど良く見え、近いものほど粗が目につく」

この罠から抜け出し、本質を見抜くセンスを磨き大局観を養うには、タイムマシンに乗って過去に遡るに若くはなし、ということです。

「いつか来た道」的な事例のオンパレードで大変興味深く読ませていただいたのですが、長期投資を志す上でもこのトラップに足を取られることなく、かつ「不易流行」(いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものを取り入れていくこと)の心構えをバランス良く持つことが大事だなと、私は考えました。

また、遠近歪曲トラップの章にあった、「今の日本はとにかくダメ」という結論になりがちで、本来は個別企業の優劣の問題であるはずの競争力や経営の巧拙がないがしろにされている、「日本」とか「時代」への「マクロへのすり替え」が頻発しがちだ、という指摘にはハッとさせられました。

つまり「『日本企業』は存在しない」。
「日本企業」という大雑把な集合名詞はもはや意味をなしておらず、「日本企業」を主語とした思考とは決別すべきであると。

日本の個別株への投資を続ける上で、少し勇気をいただいた気がします。

「大きな変化ほどゆっくり進む」。これも意識しておきたいところですね。
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