柳下裕紀「真のバリュー投資徹底講義」を読む。

読書

投資の世界において、「バリュー投資」という言葉ほど人によって違った意味で使われている言葉も無いかもしれません。

  1. 証券の価格は大幅で気まぐれな動きをする。
  2. 証券には本質価値(Intrinsic Value)があり、これとは別にその証券が取引される市場価格がある。
  3. 市場価格が計算された本質価値を著しく下回った場合、すなわち安全性マージン(Margin of Safety)を確保できる場合に限り証券を買い付けるという戦略は、長期的には優れたリターンを生み出す。

グレアム=ドッドのバリュー投資はこの3つの前提条件からスタートしているのですが、バフェットを含む彼らの正統的な末裔たちにおいてさえもその手順の進め方が違うのですから、定義がバラバラになるのは無理もありません。

この本ではバリュー投資(真のバリュー投資)の定義を以下の2つとしています。

  1. 真の価値と支払う価格の乖離=差異によって”儲ける”投資
  2. 時間を味方に付ける投資

よくグロース投資との対比で使われる、いわゆる「割安株投資」とは相当に異なった概念として、バリュー投資を定義付けております。
一例を挙げれば、MonotaRO などもこの定義においてはバリュー投資の対象となり得る訳です。

サスティナブルな価値創造を確認して組入れ、競争優位性が変わらない限り保有し続けて、長期に複利で増大する企業価値を享受する。

これが柳下先生の仰るバリュー投資の肝の部分です。

企業の本質価値をどう見積もるかという部分に関しては、フリー・キャッシュフローを最大の因数としたDCF法を使った分析を軸としています。

DCF法は、割引率を少し変えただけで計算結果が大きくブレる、将来の資本構成や設備投資など外部環境や企業の意思決定に依存する、不確実性の高い要素が計算結果に大きな影響を与えるといったように、批判も多い手法です。

でも逆に言えば、前提条件の変化(例えば競争環境や事業構造の変化、新たな投資計画等)に応じて、何度も書き換えることができるということでもあり、だからこそM&Aの実務においても最もポピュラーなものとなっているのです。

当該企業の参入障壁やビジネスモデルをしっかりと把握し、製品・商品・サービスに関する考察を行い、財務面を含めた経営の意思決定を検証する。

その結果を各パラメーターに落とし込み、現時点での妥当な理論価格を算出する(=「価値」を見積もる)。

こうした一連のプロセスの中で、本質を見極めながら企業に対する理解を深めることができるのが、DCF法の大きなメリットであり、この本ではその際のアプローチについて分かりやすく丁寧に説明しています。
(事前にファイナンスの基礎知識と、ポーターの競争戦略に対するざっくりとした理解があるとベターです。)

以下のような投資とは一線を画した「真のバリュー投資」を理解する上で、格好の講義となることでしょう。

  • テクニカルや他の投資家の心理を重視する
  • PER、PBR(現預金を含む資産価値)、配当利回りを重視する
  • カタリストを探し、将来の夢に賭ける

個人的には、「真のバリュー投資」のスタンスを貫くことができれば、「銘柄探し」に勤しむことなく、値動きにも惑わされず、人生をより豊かにすることができるのではないかと感じています。

できれば多くの方がそうあって欲しいですね。
この本がそのきっかけになることを願っています。

私が長期投資に取り組み始めてから考えてきたことと非常にフィットしており、まさに教科書となっています。
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