昔の私はPER30倍台・40倍台ではなかなか手が出なかったのですが、近年は要件を満たせば躊躇なく買えるようになりました。
それはDCF法を使って株主価値を計算するようになり、「長期投資に適した銘柄には、高いPERがついて当たり前」という感覚が持てるようになったからだと思います。
DCF法では、各年のフリー・キャッシュフロー(FCF)の現在価値を積み上げることによって企業価値を算出します。
冒頭の図(N’s spiritさんのサイトからお借りしました)のように、一般的に5年程度は年ごとにFCFの現在価値を出しますが、その次の年からはFCFは一定の成長が永久に続くものとして継続価値(ターミナルバリュー)を算出し、現在価値に割り戻す形にします。
企業価値を実際に計算してみると分かるのですが、その大部分を継続価値が占める結果となります。
ですので、「継続価値が高くなる企業がいい企業」という考えで臨んでいます。
継続価値 = 最終年度の次年度のFCF/(資本コスト-永久成長率)
この数式上、分母が小さくなれば継続価値は高まることになるのですが、私は「永久成長率を高く見積もることができるかどうか」に着目します。
「事業のボラティリティが低く、半永久的に一定の成長率を見積もって良い」と考えられれば、継続価値を高く計算できます。
FCFを一株当たり利益(EPS)に置き換えた上で、例えば資本コスト7%、永久成長率3%とすれば、
継続価値=EPS/(7%-3%)=EPS×25
と計算でき、この部分だけでPER25倍を許容できることになります。
業界のプラットフォームを押さえてしまっているとか、そのサービスを使わないと企業活動が成り立たず解約されることは考えにくいとか、持続的な競争優位性が認められる企業であれば、高PERを許容してもいいとざっくりとらえられるようになりました。
一般消費者の心は移ろいやすいので、個人的にはどちらかと言うとBtoB の方が高PERを許容しやすいですね。
ただ最近は、「競争相手が最初から戦うことを諦めてしまう」ような強いコスト競争力を持っていて、成長余地が十分残されている企業であれば、BtoC でもアリなんじゃないかと思っています(ニトリHD、ワークマン、神戸物産あたりのイメージ)。



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